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2019-04-16

廃棄物処理会社に多い”巻き込まれ事故”

労働安全

お客様から頂くご相談として多いのが「労働安全」に関することです。ニュースでもベルトコンベアや破砕機による、腕や足などの「巻き込まれ事故」といった痛々しい記事が、定期的に目に飛び込んできます。

このような労働災害は、「安全教育の未実施」や「作業手順の不徹底」など様々な理由で発生しています。この、「巻き込まれ事故」は廃棄物処理業での労働災害の中で約2割を占めており、比較的多く起こっていることが分かります。

今回のコラムでは、「巻き込まれ事故」について取り上げていきます。

廃棄物処理会社での「巻き込まれ事故」事例

・2018年6月 東京都の処理会社で、ごみの選別作業中に左腕を巻き込まれ切断する労災事故が発生。事故防止措置を講じていなかったとして、執行役員が書類送検された。
・2018年7月 千葉県の処理会社の20代の従業員がベルトコンベアに上半身を巻き込まれ死亡した労災事故が発生。また、同社は、非常停止装置をもうけずに作業させており、支店長が書類送検された。

これらの事故は、労働安全衛生法 第 20 条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで、会社及び代表取締役社長(執行役員)が書類送検されています。

会社が行うべき安全配慮義務

会社は、従業員が安心して業務に従事できるように配慮すべき義務があります。
これを、「安全配慮義務」と言います。

この義務は、平成20年3月から施行された労働契約法という法律によって定められており、労働契約法第5条には、次のように記載されています。

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」 (労働契約法 第5条)

今回の2つの事故は、会社が本来配慮するべき義務を果たしておらず、安全配慮義務違反に問われています。

この「安全配慮義務違反」に問われるケースとしては、下記図の赤枠内の違反が該当します。

今回の2つの事故で共通していたのは、会社が、機械や装置への「危険・障害防止措置」を講じていなかったことです。

本来、巻き込まれを防止するための覆いや囲い、緊急停止スイッチなどが設置されていなかったことが事故に繋がったと言えます。

これにより、「安全配慮義務違反」として、会社側が責任を追及されるという事態になったのです。
この「安全配慮義務違反」は、刑事と民事上の損害賠償責任を問われることになります。
刑事責任は、安全配慮義務を怠ったことが原因で労働者を死傷させた場合、業務上過失致死傷罪が問われることがあります。民事上については、損害賠償請求が科せられるケースがあります。

労災対策事例:企業内に潜むリスクの低減活動

労働災害を防ぐためには、リスクアセスメント活動が一番の近道だと言えます。

ある中間処理会社様では、「残留リスクの低減」というテーマを掲げて、日々、企業内に潜むリスクの低減活動を行っています。

具体的には、
① 工場内やドライバー業務などにおける「危険」を洗い出す。
② その危険が発生したときの重篤度や発生する頻度の「リスクを見積る」。
③ リスクの大きさに基づいて、対策の「優先順位」を決め、「リスクの除去又は低減の措置」を行う。

上記のような流れです。

この活動を、ISO14001の環境目的・目標に組み込み、労働安全衛生の観点から、抽出したリスクの低減活動を行い、労働災害防止に努めています。
この会社では、労働安全衛生への取り組みが、結果的に省エネや業務のムダ削減につながり、環境負荷の低減を図ることができると考えています。

「まだ、リスクアセスメント活動をしていない、そもそもやり方が分からない。」
「リスクアセスメント活動は行っているもののマンネリ化してきている。」

という会社様は、このコラムを機に、リスクアセスメント活動の導入や見直しを行ってみてはいかがでしょうか?

※「お問い合わせ内容」の「労災リスク低減サービス」にチェックをお入れください。

執筆者

安井智哉

廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。

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