COLUMN
コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
マニフェスト返送の10日ルールって?
マニフェストの返送期限は運搬・処分は90日(特管60日)、最終処分は180日というのが一般的によく知られています。
一方で、10日ルールというものも存在します。
以前、お客様から「排出事業者から『10日以内でなければいけないのに11日になっている』とISOで指摘を受けた」という相談を受けたことがあります。
こんな問い合わせを受けたら、皆さんはどう答えますか?
この機会に、10日ルールについて、しっかり把握しておきましょう。
マニフェストの10日以内返送
90日や180日というのは、引き渡しから運搬、処分、最終処分それぞれの報告を排出事業者が“受ける”期限です。
それぞれの期限以内に排出事業者が終了報告(最終処分ならばE票)を受け取っていない場合には、排出事業者は処理状況を確認し、行政に「措置内容等報告書」を提出する義務があります。
一方で10日ルールは、各工程が終了してから、10日以内にマニフェストを返送しなければならないというルールです。運搬・処分はそのまま終了日から10日以内ですし、最終処分は最終処分業者から最終処分の報告を受け取ってから10日以内です。
これは、運搬会社や処分会社が“返送”しなければならないルールです。
排出事業者に届いていなければならないルールではありません。
あまりにも長い間、終わっているマニフェストを持ち続けてはいけませんよ!ということだと考えておきましょう。
マニフェストの返送が10日以上過ぎている!と言われたら?
もし10日ルールを知らずに、期限を過ぎてから返送しているのであれば、改善が必要です。
ところが、排出事業者が「10日ルールを過ぎている!」という場合は、実は問題ないケースが多いです。なぜなら、10日ルールは運搬会社・処分会社が、マニフェストを手放す(返送)する期限だからです。排出事業者は、いつ手放したのかを知るすべがありません。
マニフェストに書かれた、運搬終了日や処分終了日と、自分の手元に届いた日を見比べて、10日を過ぎているという場合がありますが、あくまで手元に届いた日で判断しているので、正確ではありません。
金曜日に投函して、土日を挟んで月曜日に手元に届けば、10日目に手放した場合、手元に届くのは13日目になります。
さらに言えば、「ISOの審査員が指摘した」というのは、マニフェストに書かれた照合確認日と、各終了日を見比べているだけのことがほとんどです。
手元に届いたら即日照合確認日を記入しなければならないという義務はありません。
(そもそも、照合確認日の記入は義務ではありません)
照合確認日との比較の場合、最終処分終了の返送日は絶対に分かりません。
最終処分終了報告は、中間処理会社が最終処分の終了報告を受けてから、10日以内に返送します。“報告を受けてから”10日以内に返送であって、最終処分終了から10日以内ではありません。
中間処理、2次中間処理、最終処分というように、間に複数の処理を挟んでいる場合、最終処分業者からの報告が中間処理会社に届くまでに1ヶ月以上かかる場合もあります。各社が最大10日キープできるためですね。
「10日以内に返送なのに何十日も過ぎているけど、いいんですか?問題ではないですか?」という問い合わせが時折あるようですが、上記の理屈を考えると、違法では全くありませんので、しっかりと排出事業者へお伝えください。きちんと説明できると、お客様も安心し、評価も上がるはずです。
最後に、電子マニフェストの場合は10日が3日になりますので、ご注意ください。
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。