COLUMN
コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
電子マニフェストが使えない!そんな時はどうする?
2021年5月6日から7日にかけて、JWNETに不具合があり、電子マニフェストシステムが使用できなくなるという事態が発生しました。
ゴールデンウィーク明けというタイミングもあり、多くのユーザーが混乱したのではないでしょうか?
自社が排出する二次マニフェストだけでなく、マニフェストを受け取る立場としても、運搬時に受渡確認表をもらえなかったり、終了報告が行えなかったりと、とにかく混乱したようです…。
こうしたトラブルは、今後も発生する可能性があります。次回以降、慌てないように対処法を確認しておきましょう。
マニフェストが登録できない!どうなるの?
実は、今回のシステムトラブル発生翌日、環境省が「3日ルールを特例的に緩和する」という通知を出しています。「え?そうだったの?」と驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これは、トラブル時に登録できなかったマニフェストは、「復旧次第速やかに登録すれば、法律違反に問わない」という内容です。
この通知は今回のトラブルに対してのみ有効です。ただ、今後も同様のトラブルが合った際にも、登録期限については柔軟に対応してもらえると考えて良いでしょう。
これでひとまず安心ですね!
引用元:環境省環境再生・資源循環局 廃棄物規制課
受渡確認表はどう対応する?
登録は3日ルールが緩和されることが分かりましたが、もう一つ問題があるんです!そう、「受渡確認票の印刷」ですね。
基本的に、排出時には受渡確認票を印刷して、排出事業者からドライバーに渡されます。ドライバーは、これを受け取らないと運搬ができません。
今回のトラブルでは、工場に車輌が入って積み込みを始めてから、排出事業者が印刷をしようと思ったらできない!といったこともあったようです。
こんなときの対処法はあるのでしょうか?
ズバリ!システムから印刷できなくても、同じ情報が書かれていれば何でもOKです!
そもそも受渡確認票は、なぜ必要なのでしょうか?それは、産業廃棄物の運搬基準を満たすためです。運搬基準は、主に「車輌の表示」と「書面の携帯」があります。
この「書面の携帯」では、下記の内容を記載した書面を携帯しなければならないと定められているのです。
①運搬する産業廃棄物の種類及び数量
②当該産業廃棄物の運搬を委託した者の氏名又は名称
③運搬する産業廃棄物を積載した日並びに積載した事業場の名称及び連絡先
④運搬先の事業場の名称及び連絡先
この事項を記入した内容として、マニフェストの情報が手っ取り早いのです。なので、紙マニフェストはマニフェストそのものを、電子マニフェストでは予約情報から印刷した受渡確認票を使用してるんですね。
ポイントは、法律上では「記載する内容」は決められていても、「受渡確認票」とは決められていないのです!この情報が書いてあれば書式は何でも良いことになります。
実は、JWNETのHPには、エクセルで手入力できるデータも用意されているんですよ?(JWNET HPはこちら)
ご存じでしたでしょうか??
このようなものを事前に用意しておけば、緊急時に最低限の情報だけ記入して使用できますね。
残念ながら、そこまでの備えがなかった…という場合はどうするか?
「過去の受渡確認票のコピー」があれば、コレを活用できます。内容がほぼ同じものであれば、「マニフェスト番号」や「引渡し日」の部分を、手書き修正するだけで、必要事項を簡単に満たせます。
最後に、「電子マニフェスト」が使えないから「紙マニフェスト」を使おう!という排出事業者がいたら、なるべく避けるようにアドバイスしてください。
紙マニフェストは一度発行したら取り消せません、5年間保存の義務もあります。さらに1通でも発行すると、年に1回の行政報告義務を発生します。
紙マニフェストを発行する前に、とにかく最低限の情報でもいいので「受渡確認票」の代替を作りましょう。そして、3日ルールも緩和されることを想定しながら、復旧を待てばいいのです!
排出事業者様から問い合わせがあった場合も、このコラムでご紹介した方法をお伝えください。
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。