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コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
電子マニフェストの新機能は使える?使えない?
2019年7月に電子マニフェストの新機能が追加されたことは、皆さまご存知でしょうか?
感覚的なものではありますが、現段階ではまだ普及しているとは言い難いかと思います。
だからこそ「どんな機能なのか?どのような使い方が効果的なのか?」をいち早く知っておくことで、他社に一歩差をつけることができるかもしれません。
今回は、新機能の概要とオススメの使用方法をご紹介します。
目次
電マニ新機能の内容は?
新機能とはどのようなものでしょうか?見ていきましょう。
収集運搬業者用ページのメニューに「現場登録支援機能」が加わっています。
この「現場登録支援機能」は、一言でまとめると「排出事業者の代わりに、収集運搬業者がマニフェストを作ることができる機能」です。
JWNETに現場登録支援機能の図が掲載されています。
本来、排出事業者が行うマニフェストの「予約登録」を、収集運搬業者のページから行うことができます。
実際の回収時には、ドライバーがスマホやタブレットで予約登録の情報を確認し、数量を入力します。現場に排出事業者が立ち会っていれば、その場でドライバーのスマホから承認ボタンを押して貰う「現場登録」で、本登録が完了します。
立ち会いがない場合は、承認依頼通知を送信して、排出事業者に「事後登録」をしてもらいます。
こうすることで、排出事業者は細かな情報を入力する必要なく「承認」するだけで、電子マニフェストを登録できるようになります。
いわば「代理登録」とも言える機能ですね。
この機能を利用する場合は、排出事業者の手間を肩代わりすることになるので、一定の工数がかかります。
機能自体の追加料金はかかりませんが、「代理登録」をする際の事務コストと、得られるメリットを比較して利用を検討する必要があります。
電マニの代理登録に必要な準備
代理登録に必要な準備はどのようなものがあるのでしょうか?
スマホ・タブレット
現場での廃棄物内容の確認・数量入力・承認依頼はスマホやタブレットを使用して行います。
そのため、ドライバーはJWNETに接続できるこれらの端末を携帯する必要があります。現在、持っていない場合にはハードルがありそうです。
また、ドライバーがその場で数量入力などの作業を行いますので、一定以上のITスキルとマニフェスト知識が必要です。
パターン登録
排出事業者のマニフェスト情報を代理で入力するためには、「排出事業場」「廃棄物種類」「収集運搬・処分業者情報」などの必要項目を登録した上で、正しく組み合わせた「パターン設定」をしておく必要があります。
暗証番号の設定依頼
「排出事業者」に現場登録時に必要な暗証番号を事前に設定して貰う必要があります。
この暗証番号を排出事業者が入力することで、代理登録したマニフェストを承認してもらいます。
設定自体は決して難しくはないのですが、排出事業者に連絡をして設定してもらう必要があるため、説明に手間がかかる場合があります。
上記3つが主な準備です。これらが整った状態で、都度マニフェストの予約登録を行う必要があります。
代理登録はどんな場合に効果的?
では、代理登録が効果的に使用できるのは、どのようなケースでしょうか?
契約品目が多く、処分方法等との組み合わせが複雑な場合
品目が10種類、処分方法が5種類というような契約の場合、排出事業者がその組み合わせを正確に把握しきれない場合があります。廃プラは破砕、木くずは焼却、汚泥は脱水、廃酸は中和…といったように無数の組み合わせができます。
この際、排出事業者が廃プラを焼却としてマニフェストを発行した場合に「廃プラは焼却ではなくて破砕なので、修正をお願いします」といったような連絡をする必要があります。
こうした場合には、事前に説明するのも事後に修正してもらうのも手間なので、予め代理登録をしておく方が結果として手間が減りそうですね。
排出事業者が電子マニフェストを使いこなせていない場合
例えば、次のようなケースです。
・排出事業者が受渡確認票を用意するのを忘れていたために、現場で待たされてしまう。
・回収後、排出事業者がすぐに本登録をしてくれず頻繁に催促している。
このように、排出事業者側が電子マニフェストをスムーズに使えていない場合、待機時間のロスや、催促の手間を考えると、自社で代理登録したほうが結果、効率的となります。
そもそも電子マニフェストを導入していない排出事業者に導入を促す場合
代理登録の機能があることで「細かな設定は弊社で全て行います。承認ボタンだけ押せば良いので導入してください」と導入を促す事ができます。
紙マニフェストの返送等の事務作業の手間を考えれば、代理登録にメリットがあります。
代理登録が不向きなケースは?
短期の建設現場等を多く持つ排出事業者
現場の数だけパターン設定をしなければならないため、登録の手間が増え、代理登録は不向きと言われています。
ただし、中長期の建設現場であれば同じパターンを長く使えます。
また、代理登録をしない場合、電子マニフェストでは排出事業者が同じ手間をかけて設定することになります。手間を肩代わりすることで顧客満足度につながると考えるとその価値はあります。
また、代理登録が出来ない場合には紙マニフェストになるというケースも、結局紙マニフェストの手間の方が大きいので、代理登録で対応したほうがいいと思えます。
通常の登録でうまく運用している排出事業者
当たり前といえば当たり前ですが、排出事業者の管理レベルが高く、代理登録機能を使わずともスムーズに登録が行われている先には、無理に代理登録をしない方が良いと考えます。
本来は排出事業者が責任を持って登録するものなので、わざわざ代理登録してチェックしてもらうというやり方は、お互いに手間が増えてしまうだけです。
排出事業者責任は変わらない
最後に、代理登録をしたからといって、排出事業者の「マニフェスト交付義務」まで肩代わりするものではありません。あくまで案をつくって、排出事業者に承認してもらうという形式を取っているので、排出事業者の責任は変わらないのです。
こうした責任の部分もしっかりと説明し、お互いが納得した上で代理登録機能を活用しましょう。
便利な機能に甘えて、お互い管理が疎かにならないようご注意ください。
※詳細な使用方法については、JWNETに掲載のこちらのマニュアルをご確認ください。
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。