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廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
実際にあった電子マニフェストのミス~知らない間に期限超過!? ~
廃棄物の収集運搬・中間処理業を行っていると、日々大量のマニフェストを処理します。内容も様々なマニフェストを取り扱うのは非常に手間がかかりますし、適切な知識も必要です。
廃棄物処理業に関する書類のなかで、最も煩雑になりやすいのが、マニフェストと言えるのではないでしょうか?
そのため、ちょっとした勘違いや知識不足から気づかないうちにいつの間にかミスが起きてしまい、その影響も広範囲になることも珍しくありません。
今回は、最終処分終了報告が行われておらず、知らないうちに違反となってしまった電子マニフェストでの事例をご紹介します。
最終処分はどうなっていますか?と行政から連絡
今回の事例では、排出事業者が行政から指摘を受けたことが発端でした。
最終処分の報告が排出日から、180日間以上たっても完了していなかったためです。その後、行政は中間処理業者へも処理状況を確認することになりました。
ご存知の通り、排出日から数えて運搬・処分は90日、最終処分は180日以内に終了報告がされていなければなりません。(特管の場合は、運搬・処分60日、最終処分180日)
しかし、今回の事例では、最終処分が終わっていなかったわけではありませんでした。中間処理を行った時点でリサイクル製品として売却できる状態になるため、中間処理が最終処分を兼ねていたのです。
こういったケースが実は少なくないのです。そもそも、最終処分とは廃棄物として扱われなくなった状態を指します。最終処分は、“これ以上廃棄物として扱われなくなる時点”を指します。
埋立処分ならば、掘り起こして処理をするということは基本的にないため、埋めた時点で最終処分です。リサイクルの場合は、廃棄物を処理することで価値がつき、「売れる品質」になった時点が最終処分です。これを「廃棄物を卒業する」と言う場合もあります。
そのため、中間処理後に廃棄物としてではなく、有価物として扱われる場合には中間処理終了時点で最終処分となります。
この場合、中間処理業者が「処分終了報告」と「最終処分終了報告」の両方をしなければならないことになります。
今回のケースは、電子マニフェスト上で最終処分の報告がされていないまま180日以上がたってしまったというものになります。
どういうことかと言いますと、処理会社の電子マニフェスト担当者も中間処理=最終処分ということは認識していたものの、中間処理の報告のみで終えてしまっており、マニフェスト上は中間処理後はどうなっているのか報告されていない状態になってしまっていました。
今回のケースでは、中間処分報告しか行っていなかったことによって、最終処分報告の報告義務が期限内に果たせていなかったということになります。
処理自体は適切に終わっていて、決して不適切なことはないのですが、「最終処分報告まで同時に行う」という認識が不足していると、マニフェストを適切に扱うことができないのです。
電子マニフェストの意外と知られていない処分報告方法
では、今回のケースでは電子マニフェスト上でどのようにすれば適切だったのでしょうか?
中間処理報告を行ったあとすぐに、最終処分報告も行えばよいのでしょうか?もちろん、この方法でも全く問題はありません。しかし、もっと簡単な方法があります。今回の様な中間処理と最終処分が同一のケースの場合には、中間処理の終了報告時に画像のように「中間」か「最終」選択することができます。
ここで、「最終」を選択すればシステム上、中間と最終を兼ねた登録とみなされ1回の報告で済みます。マニフェスト自体や、電子マニフェストシステムに関する知識を持っておけば、気づかないうちにミスや法令違反の事態を防ぐことができますし、業務の効率化も図ることができます。
今一度、自社の電子マニフェスト運用について見直しを行ってみてはいかがでしょうか?
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。