COLUMN
コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
【専ら物】許可・契約書・マニフェスト何が必要?
「専ら物は廃掃法の規制がかからないので、マニフェストも許可も契約書もいらない」
そんな風に考えられている方はいませんか?専ら物の回収において、本当に何も必要ないのでしょうか?
令和5年2月の通知内容も含めて解説していきます。
そもそも、専ら物とは?法規制は?
まずは専ら物について整理していきます。専ら物とは、廃棄物の中で専ら再生利用を目的とする、古紙、金属くず、空きビン類、古繊維を指します。そのため、廃棄物であり、廃掃法の規制がかかります。
しかし、専ら物は、既存の専門業者に委託する場合、必要となる許可とマニフェストの発行が免除されます。こちらについては、法律でも次のように規定されています。
◆廃棄物処理の許可不要
産業廃棄物の処理業者であっても、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物・・・(中略)を専門に取り扱っている既存の回収業者等は許可の対象とならないものであること。」
(昭和46年10月16日 環整43号)
◆マニフェストの発行不要
マニフェストの交付義務の例外については、次の通り限定的に規定しています。
専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者に当該産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合
(廃棄物処理法 施行規則 第8条の19第3号)
専ら物を回収する際に必要なものは?
上記の法規制からも分かるように、専ら物を回収する際に必要な書類は契約書です。許可書・マニフェストは免除されます。
あいまいな専ら物はどうすればいいのか?
・専ら再生利用を目的とするものが対象なので、リサイクルでない場合は専ら物ではないのか?
・専門業者が免除の対象なので、専ら物以外も取り扱う産廃業者の場合は、専ら物ではないのか?
という疑問が出てくることもあるかと思います。
このような場合はどう解釈すればよいのでしょうか?
【令和5年2月3日通知の内容】
令和5年2月3日、専ら物に関する解釈を明確化する新たな通知(環循規発第2302031号)が出されています。
従来、「専ら再生利用を行っているリサイクル業者」について、解釈の幅があり、管轄行政によっても見解が異なることがありました。
「専ら」の意味を考えると、「専門業者」と解釈し、専ら物のリサイクルのみを行う業者でなければ、専ら物の特例は適用されない…という、かなり厳密な解釈がされるケースも一部ありました。
今回の通知では、この部分が明確化されています。
専ら再生利用の目的となる廃棄物以外の廃棄物の処分等を主たる業として行っている者であっても同様であり、当該専ら再生利用の目的となる廃棄物の処分等については、廃棄物処理業の許可は要しない。
この部分では、「専ら物のみを扱う専門業者でなく、他の廃棄物を扱っているような業者さんであっても、専ら物をリサイクルするなら、特例は適用しますよ」と言っています。
専ら物のみを扱う業者…となるとかなり厳しい基準ですので、そこまで厳密ではないよ。という解釈が示されたことで、少しハードルが下がりました。
ただし、こんなことも書かれています。
専ら再生利用の目的となる廃棄物であっても、それが再生利用されないと認められる場合には当該許可が必要であることに留意されたい。
「専ら物として扱うならば、必ずリサイクルすることが条件です。」と念押しされています。
まだまだ、専ら物の解釈はあいまいで、各行政がそれぞれの見解を持っています。
これまでは、厳密論ではなく、回収した品目が専ら物の品目に該当していれば、行政による取り締まりを受けるということはあまりありませんでしたが、最近では、契約書の確認をする行政も出てきています。
専門業者かどうか?という点に関する基準は明確化されましたが、それでもまだあいまいで迷う部分も多いかと思います。少しでも不安な部分がある場合は、管轄する自治体へ、ご相談することをおすすめします。
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。