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コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
電子マニフェスト登録後にミスが発覚!対応方法はどうする?
電子マニフェストの普及率(使用率)は2024年実績で86%となり、多くの企業で使用されています。
普及が進んだ一方、実は「通常の登録は問題ないが、ミスの対応についてはわからない」というケースも多く、トラブル対応の方法についてはあまり知られていない印象です。
本コラムでは「このような質問をお客様から受けたのですが…」と弊社によくご相談をいただく2つのケースを取り上げ、電子マニフェストは「どこまで修正できるのか」「どう対応すべきか」について、詳しく解説していきます。
目次
ケース①:二重登録された電子マニフェスト、どう対応する?
排出事業者が電子マニフェストを操作する中で、誤って同一の内容を複数登録してしまうケースがあります。特に、入力担当が複数人いる場合などは、気づかぬうちに二重登録してしまっていることがあるようです。
このような「二重登録」については、進捗状況に応じて対応方法が異なります。
運搬・処分終了報告のどちらも未完了の場合
このケースでは、JWNETの機能を活用して、排出事業者自身で取消申請を行うことが可能です。紙マニフェストの場合「マニフェストの保存義務」があるため、一度発行されたマニフェストを破棄することはできませんが、電子マニフェストには取消機能があるため、発行したマニフェストを取り消すことができます。
誤登録が発覚した時点で、以下の手順に従って対応してもらいましょう。取消だけではなく「引渡日の入力間違い」「数量の入力間違い」などの誤入力を修正する場合も同様の手順です。
1.JWNETの「マニフェスト情報の取消」を選択
2.取り消しするマニフェスト情報の「取消」をチェックし「取消ボタン」をクリック
3.正常に取り消されたことを確認し、完了
[参考]JWNET よくある質問「Q3-56」
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/faq/Q3-56.html
運搬または処分終了報告のどちらかが既に完了している場合
運搬報告または処分報告のどちらか一方でも完了している場合には、手順が変わります。取消を行う際、報告済みの処理業者が承認をする必要がある点に注意が必要です。
たとえば、運搬報告までが完了している場合には、排出事業者が取消操作を行ったあと収集運搬業者が承認することで修正・取消が完了します。
処分報告まで完了している場合、もちろん処分業者の承認も必要です。最終処分まで終了している場合については、処分業者の承認まででOKです。(最終処分報告を中間処理業者が行うため)
反対に、収集運搬業者や処分業者が報告内容の修正を行った場合は、排出事業者に承認が求められます。
申請の基本的な流れは以下のとおりです。
1.排出事業者が必要事項を修正、または取消処理を実行
2.関係する業者が修正内容を承認する
[参考・出典]JWNET よくある質問「Q3-62」
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/faq/Q3-62.html
JWNET上で承認依頼が行われるため、排出事業者から皆さまへメールや電話で個別に連絡が来ることはほとんどありません。その結果、承認依頼に気づかないケースも多いです。
そのため、電子マニフェストの承認依頼が届いていないか定期的に確認し、見落としを防止する必要があります。
この「承認依頼の確認」が抜けやすく、承認されないまま放置…となってしまうケースが多く見られます。
処理業者として信頼を得るためにも、承認依頼の見落としがないよう必ず確認するようにしましょう。
承認する際の基本的な流れは以下のとおりです。
1.JWNETのメニュー「通知情報」から「修正・取消通知」を開く
2.該当する修正(取消)の要請通知にチェックし「明細情報を表示」ボタンをクリック
3.該当のマニフェスト情報を探して「承認」にチェックし「承認・否認」ボタンをクリック
4.「正常終了」と表示されれば完了
[参考・出典]JWNET よくある質問「Q3-67」
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/faq/Q3-67.html
ケース②:発行したのは10カ月前!最終処分まで完了!そんなマニフェストの登録ミスが発覚した時の対応は?
たとえば、10カ月前に発行された電子マニフェストに日付の誤りが発覚。すでに運搬・中間処理・最終処分すべての終了報告も完了している。
このようなケースは、JWNET上で修正ができない可能性があるため注意が必要です。鍵となるのは、「そのマニフェストが“確定情報”として扱われているかどうか」です。
以下の4つの条件をすべて満たすと「確定情報」=JWNET上では修正不可となります。
1.マニフェスト情報の登録日から180日以上が経過している
2.運搬終了報告、処分終了報告、最終処分終了報告のすべてが完了している
3.修正・取消の要請状態ではない
4.最終更新日から10日以上が経過している
[参考]JWNET よくある質問「Q3-63」
https://www.jwnet.or.jp/jwnet/faq/Q3-63.html
今回のように「登録から10カ月以上が経過」し、すべての終了報告が完了している場合、上記の4条件すべてに該当している可能性が高く、そのマニフェストは「確定情報」であると考えられます。
この「確定情報」に該当する場合、JWNET上での修正は不可となり、別の対応が必要になります。
確定したマニフェストの修正方法
確定情報はJWNET上での修正ができないため、排出事業者が管轄自治体の担当部署へ相談し、対応方法について指示を仰ぐ必要があります。
基本的には環境省が定めた様式( https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/assets/files/yousiki1joukyouhoukokushohenkou.pdf )に基づいて届け出を記載し、提出する形で対応します。
ただし、環境省の様式はあくまで参考です。提出方法や記載を求められる内容等が、自治体ごとに違う可能性があるため、必ず管轄自治体へ相談するようにしてください。
電子マニフェストは、廃棄物の処理状況を正確に記録・管理するための大切な仕組みです。しかし、一度登録された内容を後から修正しようとすると、システムの制限やルールによる注意点がいくつもあります。
だからこそ、処理業者としては「終了報告時の確認を徹底すること」と「承認依頼を見落とさずに対応すること」が重要です。
お客様から質問を受けた際には、ルールをしっかりと説明し、適切な対応方法を伝えられるようにしておきましょう。

執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。