COLUMN
コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
行政処分はどのようにして行われるのか?
「事業停止命令・許可取消が前年の5倍!厳格化する行政の取締り」では、取り締まりが強化される動向をお伝えしました。
では、万が一、自社で些細なミスが発見されてしまったら…。いきなり行政処分になるのか、何か挽回できる手立てはあるのか?行政処分の流れを解説していきたいと思います。
ご注意いただきたいのは、本コラムは、決して違法状態を正当化する目的ではありません!
適正管理意識を持つことを大前提として、些細なミスを「許可取消」等といった事態にするのではなく、改善が行えるようにするために何が出来るのかをお伝えするものです。
立入検査がきっかけ
まず、行政処分につながる違反が発見される多くは立入検査が発端です。そこで、行政官が何かしらに「おかしいな?」と思うわけです。ただ、おかしな点を見つけたからといって、即座に行政処分が下るわけではありません。
不利益処分を行う場合には、処分前手続きをしなければなりません。許可取消の場合とその他(営業停止処分等)によって手順が異なりますが、まずは不利益処分を出すつもりだということが告知されます。
そのうえで、許可取消の場合は「聴聞(直接行政が関係者の意見を聞くこと)」、それ以外は弁明書という形で弁明の機会が与えられます。
しかし、不利益処分の告知が行われるということは、ほとんど証拠は揃っていて、法律上必要だから手続きを踏んでいるだけにすぎません。こうなってしまうと、行政処分はほぼ避けられないと考えられます。
▲内閣府HP 「行政手続法における不利益処分に係る処分前手続について」より一部抜粋(クリックで拡大)
挽回することはできないの?
多くの場合、不利益処分の告知より前に「報告徴収」が行われます。
行政官が「おかしいな?」と思っても十分な証拠がないまま行政処分を下せないので、事前に処理業者に書面で報告を求めて証拠を集めます。
ここで重要なのは、報告徴収に関して紳士的に対応しつつも、例えば「処理費を浮かせるために」「違法だと知りながら」といった“悪質”と捉えられやすい言及は最大限避けることです。
大前提として、嘘は書けません!(報告拒否や虚偽報告、立入検査の拒否、妨害、忌避を行った場合は、罰則が適用されます)
報告徴収を求められる際の書面には、立入時に違法性の説明をされて「確かにそうかもしれませんね」とコメントしたことが、「以前から違法性の認識があった」と捉えられることもあり、処理業者の立場としては“思わぬ情報の祖語”が生じる場合があるからです。
処理業者としては、「適正処理を大前提に業務を行っている」「手順の不徹底や、管理ミスによって図らずも違法状態が発生してしまった」「今後の改善はこのように考えている」という点をしっかりアピールすることが大事です。
重大な問題だと受け止めつつも、原因は“ミス”に起因するもので意図的に行ったものではなく、今後の改善にも目途がついているといった様に、本来の意図と姿勢を伝え、「業を継続させても大きな問題を起こさない」と行政に認識してもらうことが必要です。
ここで、「違法と知っていながら継続していた」や「反省の色が見えない」と捉えられたままになると、行政処分に発展する可能性が出てきてしまいます。
報告徴収は、実質的に弁明が行える最後のチャンスだと思って、慎重に対応しましょう。
執筆者
長谷川 優子
お客様への情報のご案内を担当。廃掃法等、難しい法解釈も廃棄物処理業者様・再生資源事業者様の観点から分かりやすくお伝えすることを大事にしています。
お客様が抱えられている日々の悩みや課題等を、少しでも解決&サポートできるよう努めてまいります!