



COLUMN
コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
マニフェスト・許可証、ドライバーの携行書類は電子化できる
産業廃棄物の運搬時、車両に備え付けて携行しなければならない書類が2種類あります。「マニフェスト」と「許可証の写し」です。実はこれらは、紙ではなく電子データを使用することも可能であることはご存知ですか?それぞれ、電子化の方法や電子化した場合の工数削減効果には違いがあります。
2つの書類について、確認していきましょう。
マニフェストを携行する場合
厳密には必要事項が記載された書面であれば、マニフェストでなくても良いのですが、マニフェストの内容で網羅できるため、ほとんどの場合は、マニフェストを使用します。なので、電子マニフェストの情報があれば問題ありません。スマートフォンなどでJWNETにログインし、該当のマニフェスト情報を表示できれば良いです。しかし、
・排出事業者の予約登録が間違いなく行われているか?を積み込み時にスマートフォンなどで確認しなければならない。
・運搬先の処分場では搬入する廃棄物の情報も合わせて引き渡すことが求められる。
・JWNETにログインするため、適切な知識があるドライバーでなければ、操作ミスによって該当のマニフェスト以外にも影響を及ぼす可能性がある。
といった理由から、総合的に考えて「紙の受渡確認票」を使っているところがほとんどです。
マニフェストは無理に電子化をしなくても良いケースが多いと思います。
許可証の写しは電子化がおススメ
許可証は工数削減効果が高く、電子化をおすすめします。「e文書法」と呼ばれる法律では、各種法律によって定められた「紙を前提とした書面」の使用を、電子化することが可能であると定められています。
e文書法で電子化が可能となる書面の中には「産業廃棄物を船舶または車両で運搬する際に備え付ける書面」があります。そのため、「許可証の写し」も電子化可能です。
許可証の写しを車両に備え付けておくことは、意外と大変なので、実は漏れが起きやすいのです。検問などでは必ず確認され、指摘を受ける収集運搬会社も少なくありません。許可を取得している都道府県、政令市が多く、さらに特管、普通産廃の両方を取得しているなど、数十枚の許可証を備え付けておかなければならないというケースも珍しくありません。
さらに、それぞれの許可期限はバラバラであることがほとんどなので、不定期に更新した許可証の入れ替え作業が発生します。その上、保有車両が多ければ、「許可証の写し」を入れ替えるという作業だけでも、その工数は膨大です。
これを電子化すれば、大幅に工数削減ができるかもしれません。具体的には、どこかWebページ上にすべての許可証をアップロードしておき、スマートフォン等でアクセスすれば閲覧できる状態にしておくだけです。
公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団が運営する「産廃情報ネット」に許可証のPDFデータをアップロードしていれば、このページをブックマークしておくだけです。
更新したら、新しいPDFをアップロードするだけでOKです。スマートフォン等の端末が必要ですが、これはドライバー個人の持つ端末でもOKです。スマホ普及率はかなり高くなっていますし、一般に公開されているWebページですから、セキュリティ上のリスクも低いといえます。
厳密に言えばデータ通信量の負担はありますが、検問などで求められたときだけアクセスすればよいので、「更新のたびに書類を入れ替える作業」がなくなり、仕事が楽になることを説明すると、対応もしやすくなるのではないでしょうか?

執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。