COLUMN
コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
県外廃棄物の搬入禁止違反を報道。信用調査会社が暴いた?
事前協議(県外廃棄物)の違反が報道される
先日、このような報道があり、大変驚かされました。ニュースの概要は以下の通りです。
・福岡県北九州市の産業廃棄物処理業者が、宮崎県の「県外廃棄物搬入禁止」に違反して宮崎県内に搬入していることが判明。
・「宮崎県県外産業廃棄物の県内搬入処理に関する指導要綱」に規定されている、事前協議届によれば、福岡県内で発生した産業廃棄物のみ宮崎県に受け入れ可能となっているが、大阪などから受け入れた廃棄物を中間処理後、宮崎県に搬入していた。
・違反が判明したきっかけは、情報公開請求で「産業廃棄物中間処理実績報告書」を入手したこと。
県外産業廃棄物の受け入れ制限を行っている自治体は多くあります。条例や指導要項などで、県外で発生した産業廃棄物を県内に持ち込むことを禁止し、事前協議(県外搬入届出書の提出)などを行わせ、一部条件付きで県外廃棄物の搬入を認めるという流れが一般的です。
今回は、この事前協議によって「福岡県内で発生した産業廃棄物を宮崎県に持ち込む」ことは認められていたものの、大阪や山口など他県で発生した廃棄物も中間処理した後に搬入されていたようです。
一度中間処理を介し、福岡県内発生の廃棄物と混ぜる行為は、元々の出所(発生場所)を偽るようなものであり、指導要綱に違反していると判断されました。
自治体ごとの条例、要綱は要確認
県外産業廃棄物の制限については、皆様も十分お気をつけ下さい。
各自治体でそれぞれ条例、要綱の内容は違います。うっかり違反してしまうこともあるかもしれません。事前に搬入先の条例、要綱を確認しておきましょう。
違反のきっかけは、まさかの「情報公開請求」
私が今回のニュースで注目していただきたいのが「違反のきっかけが情報公開請求」という部分です。
福岡県内の信用調査会社が行政文書の公開請求を行い、処理業者が県に提出する「産業廃棄物中間処理実績報告書」を入手しました。「この報告書を読み込んでいくと矛盾があるぞ!」ということで、数字の矛盾を宮崎県に問いただしたということです。
なぜ、信用調査会社がここまで踏み込んだ調査を行ったのか?どこかの排出事業者から調査依頼があったのか?同業他社からのリークか?明確な理由はわかりません。
広く報道しているところを見ると、不正や矛盾点に着目した独自調査を行っている可能性もあります。
この調査会社は、過去にも「熊本の処理会社が実績報告をしていない」という報道を行っていました。「気が付かなかった行政も反省すべきだ」などと、行政の問題点を取り上げる報道もしています。
あらゆる角度から注目されている…からこそ確実な管理を
適切に管理していると思っていても、思わぬ抜け漏れは防ぎきれないほど、複雑なのが廃棄物処理法や条例です。
当事者や行政だけでなく、周辺住民や報道の目も厳しいのが「環境ビジネス」の特徴とも言えます。
もちろん、イーテラスは処理会社様への廃棄物管理にまつわる様々なサポートを全力で行っております。何かお困りの点や気がかりな点がありましたら、お気軽にご相談ください。
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。