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コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
【コロナ影響】廃棄物処理法の各種特例まとめ
緊急事態宣言が全国で解除されたとは言え、新型コロナウイルス感染症の影響が続いております。皆様も、今年のG.Wはもちろん、それ以降の日々の過ごし方もガラリと変わったのではないでしょうか?私は自炊をする機会が増え、料理の腕が少し上がった気がします。
さて、廃棄物処理業界の特性上、少し遅れてとなりますが廃棄物処理についてもコロナの影響が顕著に出てまいりました。令和2年5月15日付で、廃棄物処理法の各種規制緩和を目的とした省令改正・施行が行われています。内容が多岐に渡るので、整理してお伝えしていきます。
改正内容を一覧で整理
下記に記載されている内容を、できる限りシンプルな表にしてみました。
「新型コロナウイルス感染症に対処するための廃棄物の処理及び清掃に関する 法律施行規則の特例を定める省令の施行について(通知)」
①の中でも多量排出事業者報告は、排出事業者限定の書面です。また、③は排出事業者の保管についてですね。その他は処理業においても大きく関わる項目です。ここから、注意しなければならない情報を押さえていきましょう。
緊急事態宣言に関する条件は3パターン
必ず押さえておかなければならないのは「条件」の部分です。特に「コロナの影響」を受けての特例なので、「緊急事態宣言」の継続状況が密接に関係します。
条件は大きく分けて3パターンです。
A:自事業場が所属する都道府県において、緊急事態宣言が継続していれば適用
B:自事業場が所属する都道府県が解除済みでも、全国のどこかしらで継続していれば適用
C:緊急事態宣言の状況に関わらず適用
①の各種「年次報告」はCパターンに該当します。既に延長が決まっていて、今後の状況変化に左右されるものではありません。
②の「マニフェスト」、③の「保管届」はBパターンに該当です。国内のどこかで緊急事態宣言が継続中ならば適用されるわけです。
④の「処理施設定期検査」は原則Aパターンです。自事業場の所属する都道府県の状況のみで判断します。ただし、近隣区域の状況によっては人の移動がままならず、対応困難な場合がありますよね?この場合にはBパターンに該当します。
全国なのか、自事業場の都道府県のみなのかをしっかり把握していないと、混乱してしまいます。どのパターンに該当するのかを整理して判断することが必要です!
マニフェストのポイントは基準日
マニフェストの特例は、基準日の確認も必要になってきます!
まず、マニフェストの各種終了報告期限を延期(90日⇒180日、180日⇒240日)場合、
・緊急事態宣言期間中(Bパターン)に発行されたマニフェスト
・緊急事態宣言期間中(Bパターン)に従来の報告期限を迎えるマニフェスト
の両方が対象になります。
また、運搬・処分業者が、それぞれの完了日から報告をするまでの期間(紙:10日⇒30日、電子:3日⇒30日)についても
・緊急事態宣言期間中(Bパターン)に、運搬・処分が完了したり、最終処分完了の報告を受けて、報告が必要になったマニフェスト
・緊急事態宣言期間中(Bパターン)に、紙10日、電子3日の報告期限を迎えるマニフェスト
の両方が対象となります。
どのマニフェストが延期対象になるのか?しっかり確認しておきましょう。
報告書はできる範囲で進めること!
各種特例対象について、延期される理由がそれぞれあります。定期検査は実地で検査することが難しい場合の対応ですね。
報告書とマニフェストについては、テレワークが広まり、出社機会が減っている場合を想定した対応だと考えられます。
マニフェストの各種報告期限は、紙マニフェストの場合、原本を郵送で対応するため、出社が必要です。電子の場合は在宅でも出来なくはないですが、計量伝票や、2次処理先の紙マニフェストをチェックしたりと、出社が必要なケースもまだまだ想定されます。
各種報告書は、(電子化100%でない限り)紙マニフェストの集計が必要となります。事務所にあるマニフェストをすべて持ち帰ることは現実的でないため、延期というわけですね。
これらの理由は私の推測ですが、コロナの影響に伴う特例なので基本的に間違っていないはずです。そのため、自社も委託先も特例の要件を満たすからと言って、無闇やたらに実務上の期日を先延ばしにすることはお勧めしません。
例えば、中間処理完了の報告が180日から240日に伸びたからと言って、自社の所属する区域では緊急事態宣言が解除されており、中間処理施設は通常通り稼働を継続している…という状況では、処分が滞る要素は無いわけです。
法律上の規定では、Bパターンなので、全国どこかで緊急事態宣言が継続していれば240日期限になります。また、緊急事態宣言中に発行したマニフェストが対象となるため、極論を言えば宣言解除の前日に発行されたマニフェストも240日期限になります。
このような状況で、180日以上マニフェストの返送をしない場合…法律上は問題ないのですが、コロナ影響とは別の所に原因があると疑われてしまうような気がしませんか?こうした部分の見極めも今後大切になってくると思います。
また、報告書の提出期限は延期が確定していますが、できる限り早めに作成しましょう。
各種報告書の中には、再生利用認定や、無害化処理認定に関する実績報告など、処分業者の立場でも延期されるものがあります。
※一般的な、収集運搬実績や処分実績の報告はなぜか延期されていません!ご注意ください!!
期限が延びたからと言って、作成可能な状況なのに作成しないという先延ばしが発生すると、恐らく延長期限ギリギリまで手を付けないことになります…。学生の頃の試験勉強と同じですね!
過去の記録は時間が経てば経つほど、紐解くのが億劫になってきますので、やむを得ず出社出来ない…という状況を脱したら、期限に関わらず速やかに作成することをお勧めします。
執筆者
安井智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。