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廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
「まとめて1枚」のマニフェストを受け取ってよいか──収集運搬業者・処分業者の受入判断
基準時点:2026年8月現在
「今回はまとめて1枚でも大丈夫ですか?」——排出事業者からそう聞かれたとき、受け取る側にも判断が求められます。同じ排出事業場・同じ廃棄物・同じ運搬先で複数の運搬車が動く現場では珍しくない問い合わせですが、交付単位が実態と合っていないと、自社の受入記録や電子マニフェストの登録内容との突き合わせが困難になります。本稿では、マニフェストの交付単位について法令と通知で確認できる範囲を整理します。
【結論】
マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、環境省通知上、通常は運搬車1台ごとに交付することが必要とされています。
複数台分を1枚にまとめてよい場合として通知が挙げているのは、複数の運搬車が同時に引き渡され、かつ運搬先が同一であるときです。
この記事で分かること
・交付単位を決めている根拠(廃掃法第12条の3第1項と環境省通知)
・「まとめて1枚」に必要な2つの要件
・枚数が実態と合わないまま受け取ったとき、処理業者側が問われること
・電子マニフェストで前提が変わる点と、基準となる3日の数え方
・受入時に確認する3点と、疑わしいときの対応方法
マニフェストは、何を単位に交付されることになっているのか
マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付時期は、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律。以下「廃掃法」)第12条の3第1項に置かれています。事業者は、産業廃棄物の引渡しと同時に、運搬受託者(処分のみの委託では処分受託者)にマニフェストを交付しなければならないこととされています。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条の3第1項(e-Gov法令検索)
環境省通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」(環廃産発第110317001号・平成23年3月17日)第1の2(1)①は、この「引渡しと同時に」という条件を運搬車の台数に当てはめて、次のように示しています。
このため通常は、運搬受託者が複数の運搬車を用いて運搬する場合には、運搬車ごとに交付することが必要となる
出典:産業廃棄物管理票制度の運用について(通知)環廃産発第110317001号・平成23年3月17日(環境省)
軸は車両だけではありません。同通知第1の2(1)④では、1台の運搬車に引き渡された場合であっても、運搬先が複数であるときは運搬先ごとに交付することとされています。また同通知第1の2(1)③では、産業廃棄物の種類ごとに交付することを原則としています。本稿のテーマである交付単位を考えるときは、まず車両・運搬先・廃棄物の種類という3つの軸を確認すると整理しやすくなります。
なお、この通知は地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的な助言として発出されたものです。個別の当てはめについては、許可を出している自治体にご確認ください。
「まとめて1枚」が認められるのは、どういう場合か
環境省通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」(環廃産発第110317001号)第1の2(1)①には、原則に続けて例外が置かれています。
複数の運搬車に対して同時に引き渡され、かつ、運搬先が同一である場合には、これらを1回の引渡しとして管理票を交付して差し支えないこと。
出典:産業廃棄物管理票制度の運用について(通知)環廃産発第110317001号・平成23年3月17日(環境省)
複数台分を1枚にまとめる要件として通知が挙げているのは「同時に引き渡されること」と「運搬先が同一であること」の2点です。「同じ排出事業場から出た、同じ種類の廃棄物を、同じ運搬先へ運ぶ」という条件のうち、この要件に対応しているのは運搬先が同一であるという1点だけです。なお、産業廃棄物を種類ごとに交付する原則は、この2点とは別に働きます。
この通知には「同時に引き渡され」にあたる具体的な時間差や運用例までは示されていません。積込みや出発のタイミングが車両ごとに異なる場合にこの要件を満たすかは、個別の運用実態に応じた確認が必要になります。判断に迷う場合は、許可を出している自治体にご確認ください。
この考え方は電子マニフェストでも変わりません。公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターのFAQでも、同時に複数台のトラックで運搬する場合の登録について同じ通知の要件が参照されています。あわせて同FAQは、自治体の判断により台数分のマニフェストが必要になる場合があるとして、都道府県・政令市への確認を促しています。
出典:同時に複数台のトラックで運搬する場合の登録に関するFAQ/公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
交付単位が実態と合わないまま受け取ると、処理業者側は何を問われるのか
交付単位は排出事業者側の事務だと思われがちですが、受け取る側にも規定があります。廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律。以下「廃掃法」)第12条の4第2項では、運搬受託者又は処分受託者は、マニフェストの交付を受けていないにもかかわらず、その委託に係る産業廃棄物の引渡しを受けてはならないこととされています。違反した場合、廃掃法第27条の2第7号により、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象とされています。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第61号)新旧対照条文/環境省
ただし、枚数と搬入台数が一致していない状態が直ちにこの規定にあたるわけではなく、実際の評価は引渡しの実態を踏まえた個別判断になります。
例外もあります。廃掃法第12条の4第2項ただし書では、電子情報処理組織を使用し、情報処理センターを経由して運搬又は処分が終了した旨の報告を求められた運搬受託者・処分受託者について、この禁止規定は適用されないこととされています。
電子マニフェストで登録するとき、紙と前提はどう変わるのか
電子情報処理組織を使用する電子マニフェスト(JWNET)では、引渡しと同時ではなく、引き渡した後3日以内に情報処理センターへ登録することとされています。この3日には、引渡し当日と、土曜日・日曜日・祝日・振替休日・12月29日から1月3日までの日は含まれないとされています(廃棄物処理法施行規則第8条の31の6)。たとえば間に祝日等がない場合、金曜日に引渡しがあれば翌週水曜日までが期限になります。環境省通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」(環廃産発第110317001号)第2の2(2)では、期間内に登録がないときはマニフェストの不交付と判断されるとされています。
出典:登録・報告の期限に関するFAQ/運搬終了報告の操作に関するFAQ(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第12条の5第3項(e-Gov法令検索)
運搬終了報告は、収集運搬業者自身が行う手続きです。廃掃法第12条の5第3項では、運搬受託者は運搬を終了したときに、電子情報処理組織を使用して情報処理センターにその旨を報告することとされています。報告をしない場合や虚偽の報告をした場合は、廃掃法第27条の2第10号により、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象とされています。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第61号)新旧対照条文/環境省
要件を満たす場合に複数台分を1件で登録することは、通知上認められています。そのうえで、JWNETの運搬終了報告では[運搬終了日]と[運搬担当者]が必須項目とされており、複数台を1件にまとめた場合、この欄と実際に運搬した担当者との照合ができなくなる場面があります。どこまで自社側で追えるようにするかは、法令上の要請とは別の管理方針の問題です。
受入れ時に、実務として何を確認するのか
マニフェストを受け取る側の対応は、次の3点です。
・搬入された車両の台数と、受け取ったマニフェストの枚数が一致しているかを、受入れの都度確認する
・電子マニフェストの運搬終了報告は、運搬した担当者の実態に沿って入力する
・「まとめて1枚」で渡された場合は、複数の運搬車に対して同時に引き渡されたと説明できる実態があるかを確認する
3点目で疑わしいと感じた場合でも、処理業者は排出事業者に対して行政上の是正を命じる立場ではないため、実際にできるのは交付単位の見直しを依頼し、判断がつかないときは許可を出している自治体に照会するという対応です。社内では、誰が受入時に照合し、疑義があったときに誰へ上げるかをあらかじめ決めておくと運用が安定します。

▲ 図1:マニフェスト交付単位の確認フロー
出典:産業廃棄物管理票制度の運用について(通知)環廃産発第110317001号・平成23年3月17日をもとにイーテラス作成
迷ったときは、どう運用しておくのが安全か
マニフェストの交付単位は、排出事業者だけの手続きではなく、受け取る収集運搬業者・処分業者の記録の正確性にも関わります。「同じ排出事業場・同じ廃棄物・同じ運搬先」という条件が揃っているだけでは、1枚にまとめてよいことにはなりません。通知が求めているのは、複数の運搬車に対して同時に引き渡されたといえる実態があることです。判断がつかない場面は、まず許可を出している自治体に確認するのが確実です。公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターのFAQでも、自治体の判断により台数分のマニフェストが必要になる場合があるとして、都道府県・政令市への確認が促されています。そのうえで、実務上のリスクを抑える運用としては、車両ごとに受領し、車両ごとに登録しておく方法が考えられます。
よくある質問(FAQ)
Q. 同じ排出事業場から同じ種類の廃棄物を、同じ処分場へ複数台で運びます。マニフェストは1枚にまとめてもよいですか。
A. 環境省通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」(環廃産発第110317001号)が1回の引渡しとして扱ってよいとしているのは、複数の運搬車に対して同時に引き渡され、かつ運搬先が同一である場合です。排出事業場・廃棄物の種類・運搬先が同じというだけでは、同時の引渡しという要件は満たされません。当てはまるかどうかは個別判断のため、許可自治体にご確認ください。
Q. 紙のマニフェスト1枚に複数の担当者名を書き添えれば、まとめて受け取ってよいですか。
A. 担当者名を書き添えたとしても、それだけで「まとめて1枚」の要件を満たすことにはなりません。複数台分を1枚とできるかは、環境省通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」(環廃産発第110317001号)が示す「複数の運搬車に対して同時に引き渡されること」「運搬先が同一であること」という要件で判断されます。なお同通知第1の2(1)⑤では、マニフェストは廃棄物処理法施行規則の様式第2号の15によるものでなければならず、これによらないで作成された書面は管理票の不交付と判断されるとされています。個別の運用については、許自治体にご確認ください。
Q. 排出事業者から「まとめて1枚でよい」と言われた場合、断ってよいのですか。
A. マニフェストを交付する義務は、廃棄物処理法第12条の3第1項により排出事業者側に置かれており、処理業者は排出事業者に対して行政上の是正を命じる立場ではありません。受け取る側としては、同時に引き渡されたと説明できる実態があるかを確認し、疑わしい場合は交付単位の見直しを依頼するという対応になります。取引上の判断を含むため、社内の方針を決めたうえで、必要に応じて許可自治体にご確認ください。
Q. 電子マニフェストなら、引渡しを受ける時点でマニフェストがなくても問題ありませんか。
A. 廃掃法第12条の4第2項ただし書では、電子情報処理組織を使用し、情報処理センターを経由して運搬又は処分が終了した旨の報告を求められた運搬受託者・処分受託者について、管理票の交付を受けずに引渡しを受けることの禁止規定は適用されないこととされています。ただし電子マニフェストには引渡し後3日以内の登録期限があり、環境省通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」(環廃産発第110317001号)第2の2(2)では期間内に登録がないときはマニフェストの不交付と判断されるとされています。登録の確認は必要です。
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イーテラスでは、産業廃棄物処理業者様の行政対応等について、実務支援・コンサルティングを行っています。マニフェストの受入れ時確認や電子マニフェストの運用、委託契約書の作成・管理などでご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
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出典一覧
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)
・産業廃棄物管理票制度の運用について(通知)環廃産発第110317001号・平成23年3月17日/環境省
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第61号)新旧対照条文/環境省
・廃棄物処理法における罰則一覧表(令和7年6月1日施行後)/群馬県
・同時に複数台のトラックで運搬する場合の登録に関するFAQ/公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
・登録・報告の期限に関するFAQ/公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
・運搬終了報告の操作に関するFAQ/公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
・マニフェストの管理運用/公益社団法人 全国産業資源循環連合会
※ 本記事における法令・通知の解釈は一般的な解説を目的としたものです。個別の運用については、許可を出している自治体または専門家にご確認ください。
執筆者
チーフコンサルタント 安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。また、静脈産業・廃棄物処理業界の"現場"が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。

