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COLUMN

コラム

廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。

管理者向け 2024.05.08

知らなかったでは済まない“過労死ライン”

産廃業界では、2024年問題の影響を受けて、ドライバーの就業時間や時間外労働の見直しや改善を進めている企業も多いのではないでしょうか?

そんな中、「これまで通りお客様からの回収頻度の要望に応えたい」「時間制限をして売上を下げたくない」といった思いもあるかと思います。しかし、顧客の要望や会社の売上を優先しすぎることで、従業員の過労による健康障害が生じるおそれが出てきます。

長時間労働が続くと、心身ともに疲弊し突然死してしまったり、ストレスが原因で自殺に追い込まれたりすることもあります。このように仕事の過労やストレスが原因で死亡することを「過労死」といいます。

今回は、そんな過労死の定義や過労死ラインについて解説します。

産廃業界は、過労死が発生しやすい?

厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患などの発生状況について、公表しています。

令和4年度の労働災害の認定過労死等に関する請求件数は3,486件で、前年度と比べて387件増加しています。

さらに脳・心臓疾患に関する事案を、業種別に見てみると…
「運輸業、郵便業」172件、「卸売業、小売業」116件、「サービス業(他に分類されないもの)」111件という順になっています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33879.html

こちらの結果をみて、「うちの業界は関係ない」と思われたかもしれませんが、産廃業界も無関係ではありません。
産廃業界の業務内容や労働環境には「運輸業、郵便業」と、下記のような共通点があります。

・長距離運搬や人手不足の影響もあり、長時間労働となりやすい
・仕事の性質上、朝が早く、夜勤を含む不規則な勤務が発生する場合がある
・積込作業や運転には、一定以上の身体的負荷がある

産廃業界で過労死に関するニュースを耳にすることはあまりないかもしれません。
ですが、働く環境や業務が、脳・心臓疾患の事案の発生が一番多い業界と似ているため、危機感を高めておく必要があると思います。

 過労死、過労死ライン、その定義と基準とは?

厚生労働省は、「過労死」について、このように定義しています。

 

業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や業務における強い心理的負荷による
精神障害を原因とする死亡やこれらの疾患のこと

 

また、よく耳にする「過労死ライン」とは、どのようなことを指すのでしょうか?
「過労死ライン」とは、過労死の危険が高まる時間外労働の「時間」の目安です。
病気や死亡、ストレス等の健康障害の原因が、過重な労働に関係するものかどうかを判断します。

実際に、どんな数値が示されているのかを見てみましょう。厚生労働省は過労死ラインをこちらのように定義しています。

 

健康障害を発症した直近1ヶ月で、月100時間を超える時間外労働をしていること
健康障害を発症する、2~6ヶ月前に月平均80時間を超える時間外労働をしていること

 

これらを満たす場合、健康障害と長時間労働の因果関係を認めやすいとされています。

法律で定められている時間外労働の上限は、原則月45時間とされているため、過労死ラインを超えた労働がいかに負担となるのかが、この数字からもお分かりいただけたのではないでしょうか?

時間外労働だけではない!労働の不規則さや強度にも注意を

それぞれの定義を整理したうえで、改めて自社の状況を見直してみると、どうでしょうか?

過労死ラインは、先ほど紹介した下記の通りです。

 

健康障害を発症した直近1ヶ月で、月100時間を超える時間外労働をしていること
健康障害を発症する、2~6ヶ月前に月平均80時間を超える時間外労働をしていること

 

「さすがに100時間を超える残業なんて、うちはないよ。」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
また、単月で80時間の残業を行っただけでは、労災の認定基準に直ちには該当しないため大丈夫と思われたかもしれません。しかし、「黄色信号」といえる状態です。

実際に、繁忙期や従業員の体調不良などで急遽休日出勤をしなければいけなくなったり、現場の作業時間や回収時間が長くなったりすることもあると思います。
その結果、知らないうちに時間外労働が増えていたという状況もありえます。

また、近年の改正では「時間」に加えて、労働の「不規則さ」や「強度」なども、過労死ラインの判断要素に加えられています。
そのため、残業時間が基準に達していなくても、労災と判断される可能性が高まっているため、より気を付けていく必要があります。

会社としてできることは、過労死と過労死ラインの定義を意識しながら、従業員の皆さんの健康を害することのないよう十分配慮することです。また、これらの危険性や対応について従業員の皆さんとすり合わせを行っておくことで、万が一の事態を防ぐことも大切です。

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