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COLUMN

コラム

廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。

行政処分 2018.11.28

マニフェストの虚偽記載・記載漏れが発覚した3つの事例と行政への対応方法

最近、マニフェストに関する相談が増えています。特に、取り扱いについて「行政に注意を受けた」という非常に深刻なものが増えています。
相談件数が増えた大きな要因の一つに、マニフェストに関する行政の取締りが厳格化していることが考えられます。

マニフェスト虚偽記載による行政処分が爆発的に増えている

マニフェストの虚偽記載による行政処分~3つの事例~

例えば、こちらのニュースでは、処分業者が返送した4件のマニフェストについて、処分終了日の記載漏れがあったとして事業停止命令が下っています。

●岐阜県にて、マニフェスト記載漏れで10日間の事業停止処分

【概要】

・2018年5月15日、岐阜県は、マニフェストの記載漏れがあったとして、同県内の産廃収集運搬業者に対して10日間の事業停止処分を言い渡した。

・2016年5月~2017年1月に交付されたマニフェスト4件について、処分終了日が記載されないまま票の交付者(排出事業者)に写しを送付した疑い。

・一般廃棄物の発泡スチロールの無許可処理の疑いで行政が立ち入り検査をした際にマニフェストの不備が発覚

こちらのニュースについては、過去に別コラムにて詳しく解説しています。
【処理業者へ10日間の事業停止】よくあるミスから行政処分

また、マニフェストに虚偽の日付を記載した(虚偽記載・虚偽報告)のニュースも増えています。

 

●山口県にてマニフェストの虚偽記載・虚偽報告で業許可の取り消し


▲引用:【産業廃棄物処理業者に対する行政処分について】山口県/廃棄物・リサイクル対策課

 

●三重県にてマニフェストの虚偽記載・虚偽報告で事業停止及び処理施設の使用停止


▲引用:【産業廃棄物処理業者の行政処分】三重県/廃棄物監視・指導課

マニフェスト虚偽記載による行政処分の現状

これまで、処理会社が報告するマニフェストで、記載漏れ、虚偽記載(日付、最終処分場所等)から、行政処分に発展する事例はほんのわずかしかありませんでした。

しかし、ここ数年でこうした事例が何件も立て続けに報道されています。マニフェストに関しては、今までにないレベルで厳しく取り締まられているということがお分かりいただけると思います。

また、こちらは少し前の資料になりますが、「マニフェストの勧告・指導等の状況」をまとめたものです。平成25年の時点で「報告件数」が爆発的に増えているのが分かります。


▲廃棄物処理政策に関する これまでの施策の施行状況

この「報告件数」とは、「排出事業者が、記載漏れや虚偽記載のマニフェスト返送を受けた際に行政に報告をした件数」です。いわば処理業者のマニフェストに関する不備が排出事業者によって「通報」された数です。

行政だけでなく、排出事業者からも厳しく監視されているという状況です。

マニフェストの不備(記載漏れ・虚偽記載等)が発覚した場合どうするの?

マニフェストに関しては以前から罰則が設けられていましたが、改正廃棄物処理法(平成30年4月1日施行)では、従来の2倍(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)に強化されています。

▼下記は環境省が平成29年3月に発表したマニフェストの全面的な罰則強化をまとめたものです。

これは、刑事罰であり、こうした罰則が適用された事例は現在でも多くはありません。

しかし、罰則が強化されたという事はそれだけマニフェストに対して厳しく見られるという事を意味しています。

今までになかったような行政処分が連発しているのも、こうした罰則強化を受けて「行政処分」も厳格化する流れができているのではないでしょうか。

マニフェストの不備が発覚してしまった場合の対応策は?

マニフェストの不備(記載漏れ・虚偽記載等)が発覚してしまった場合、「違反ではない」ことを主張することはできません。

マニフェストは複写伝票であり、排出事業者に控えを返送している(電子マニフェストの場合はJWNET上での報告が記録されている)という特性上、動かぬ証拠として押さえられれば言い逃れはできません。

その為、たった数件のミスであったとしても、発覚してしまえば法律違反なのです。

マニフェストに虚偽記載が!行政処分を少しでも軽減するための報告とは?

では、発覚した場合、全く打つ手がないのか?というと必ずしもそうではありません。

行政に違反が発覚した場合、一般的な流れとして「報告徴収」として書面で詳細な報告を求められます。その際に、違反の経緯や原因、管理体制、今後の対策(再発防止策)なども報告します。

この報告が重要です。

詳細な内容はケースバイケースですが、行政から「報告徴収」を求める書類が届き、そこには立ち入り調査の聞き取り内容や発覚時の様子などが書かれています。この部分に注意が必要です。

なぜなら「組織として違反を認識していた」「違反行為を認識しながら行った」と認めさせるような…いわばバイアスのかかった書き方をされている場合があります。

事実は事実として認めなければいけない一方、行政官に言われたこと・受け取った書面に書かれたことに関しては、バイアスを取り除いた毅然とした対応が必要なのです。

そして、最も重要な点は対策・再発防止策です。必ずこの部分を具体的に報告します。

下記の4つのポイントが分かるように記載します。

・法律をしっかりと把握している
・具体的である
・実現可能な再発防止策である
・その再発防止策を早期に実行している

いかに「ああ、この会社はたまたまミスがあったけど、よく分かっているな」と認識してもらえるかどうかが明暗の分かれ目です。

行政も闇雲に処分を出すばかりではありません。あくまで目的は「適正な処理が行われるよう監視をする」ことなので、行政が(事業停止命令などによって)直接手を出さずとも、自然と改善に向かうということをアピールすれば行政処分といった重い処分ではなく「厳重注意」で収まる可能性も十分にあります。

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