COLUMN
コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
契約内容変更の覚書は必須?
契約内容が変更になった際に交わす覚書…
しかし「覚書を作らなければいけないのか?」という質問もよくいただきます。特に「取引先から言われて…」というパターンが多いですね。
例えばこんな質問です。
・社名変更や吸収合併したとき、覚書は必要ですか?
・品目変更の場合は?
・委託数量、委託料金変更の場合は?
皆さんはどう思われますか?今回は、こちらの3つについて覚書が必要かどうか解説していきます。
Q1:社名変更や吸収合併の場合は?
A:覚書の作成は必須ではありません。
下記①、②のケースでは、覚書を交わすことが必須ではありませんが、相手へ変更の旨を必ず通知するようにしましょう。
①社名変更の場合
法人格(法律に基づいて団体に与えられる法律上の人格のこと。 法律に従い一定の手続きを経たものだけに法人格が認められている。)が変わらないので、覚書は必須ではありません。法人格を有する企業の契約や権利、義務などは法人格に帰属します。法人格が残る限り、契約は継続します。
②吸収合併の場合
通常、合併前の権利を合併後の会社が承継する為、必須ではありません。また「法律上必須ではない」というだけで、契約先が覚書の作成を希望することもあります。とはいえ、自社が社名変更した際に「全ての契約先と覚書を交わす」のか「希望する場合のみ覚書を交わす」のか、労力は全く違いますね。
ワンポイントアドバイス!
相手方に社名変更あった場合などには、契約書が保管されているファイルに、社名変更された旨の通知書類を同一ファイルに保存しておくと社名が契約書と異なった際に、スムーズに確認ができ対応ができます。
Q2:品目変更の場合は?
A:覚書は必須です。契約書記載の品目は、マニフェストや許可証とも連動する法定記載事項です。
契約書の記載内容には、その内容が変わればマニフェストの記載も変わる項目、いわばマニフェストと連動する項目が多くあります。契約書を変更しないまま、新しい品目を委託してマニフェストを発行…となると、委託基準違反(委託契約書を締結していない廃棄物を委託)となります。そのため覚書を交わし、契約品目を追加する必要があります。
Q3:委託数量、委託料金変更の場合は?
A:基本的に、覚書の作成は必須ではありません。但し、一部のケースで必須となる場合もあります。
委託契約書に記載する数量はあくまで予定数量です。排出する廃棄物の数量を契約前に正確に計量はできませんから、概算で記載するのが通常です。(行政の対応でも、単価に幅がある記載において現時点で違反という事例は聞いたことがありません。)
よって、これらの内容は、契約書に記載されているものと実績が完全に一致すべきものでないことが分かります。そのため、細かな数量の変更であったら、当事者間の合意が取れていれば、覚書は必須ではありません。
ただし、印紙の金額が変わるほどの変更では、覚書が必要!
大幅に数量と料金単価が変わることによって、貼付すべき印紙の金額が変わる場合があります。下記の場合は、覚書の作成が必要なケースです。
例えば、予定数量を実際の想定よりも、極めて少ない量を記載した場合、本来であれば10万円の印紙を貼らないといけないにも関わらず、200円の印紙を貼るということもあり得ます。こうした行為を意図的に行うと、物騒な言葉ですが「脱税」とみられてしまうかもしれません!
そのため、数量や、料金の大幅な変更によって、契約書に貼り付けるべき印紙額が変わる場合については覚書を交わす必要があります。
法律で覚書がどのような場合に必要なのかは明確に定まっていませんが、委託内容が変わるレベル(一つの判断基準として、マニフェストの記載内容が変わる)貼付すべき印紙額が変わるレベルの場合は、覚書によって契約内容を修正しておく必要があります。
その他の内容変更に関しても、まずは「変更する内容の重要度」を確認することから始めましょう。マニフェストや印紙のように、連動する書面等があるのであれば、覚書を交わす必要性が高くなる傾向にあります。
「重要度」によって、ある程度の予測を付けてから、根拠を調べるとスムーズになるため、おすすめです。
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。