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COLUMN

コラム

廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。

法改正 2025.08.28

委託契約書の項目追加【令和7年4月公布:廃棄物処理法改正①】

令和7(2025)年4月22日、廃棄物処理法の一部改正が公布されました。内容は大きく2つ「電子マニフェスト報告事項の追加」と「委託契約書法定記載事項の追加」です。実際の対応について、通知などによって解釈が示される可能性もありますので、現時点で判明している情報を元に、想定できる範囲で解説していきます。今回は、施行日が令和8(2026)年1月1日と近い「委託契約書法定記載事項の追加」について取り扱います。(電子マニフェスト報告事項の追加」は、令和9(2027)年4月1日施行です。)

対象は基本的に排出事業者ですが、契約書は両者で結ぶものですし、二次処理委託については中間処理業者が排出事業者の立場となることもあります。ですので、内容はしっかりと把握しておきましょう!
また、施行が近づくにつれ排出事業者からの問い合わせが増えることも予測できますね。

対象になる排出事業者は?

今回の改正は、以下の①と②の条件に該当する排出事業者が対象です。(二次処理委託については中間処理業者が排出事業者の立場となる場合もあるのでご注意ください)

① PRTR法における「第一種指定化学物質等取扱事業者」であって
②「第一種指定化学物質」を1%以上(特定第一種指定化学物質は0.1%以上)含有もしくは付着する産業廃棄物を排出する場合

PRTR法では、業種・事業規模(従業員数)・対象物質の年間取扱量(第一種指定化学物質1t以上、特定第一種指定化学物質0.5t以上)などの条件に合致する事業者を「第一種指定化学物質等取扱事業者」として、対象物質の排出量・移動量の届出を求めています。

具体的な判定フローは図1をご覧ください。経済産業省HPには対象業種・対象物質が列挙されており、令和7(2025)年7月時点で24業種515物質が指定されています。
産業廃棄物処分業は、対象業種に含まれています。

参考:経済産業省HP(対象業種・対象物質)
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/3.html


図1:第一種指定化学物質等取扱事業者の判定フロー

まず、図1のフローに従って「第一種指定化学物質等取扱事業者」に該当するかを判定します。しかし、必ずしも改めてゼロから該当するかどうかを判定する必要はありません。なぜなら、PRTR法の対象事業者に該当しているということは、既に「排出・移動量の届出」を行っているはずだからです。

排出事業者から聞かれた場合も、まずはシンプルに「PRTR法の届出をしているかを社内で確認してください」と伝えるのがわかりやすいと思います。

「第一種指定化学物質等取扱事業者」に該当している場合、排出する産業廃棄物に「第一種指定化学物質」が1%以上(特定第一種指定化学物質は0.1%以上)含有、もしくは付着しているかを確認します。実際には、対象物質を使用する工程から発生する廃棄物を絞り込んで、分析を行うことになります。対象物質を全く使用しない工程から発生した廃棄物まで分析する必要はないと判断できますが、対象物質を使用している工程であれば、1%(特定第一種指定化学物質の場合は0.1%)と微量の含有でも該当するので、含有の可能性が低いと思われる廃棄物でも、念のため分析が必要です。

委託契約書への条文追加の対応方法

では、実際の対応はどうすればよいでしょうか?今回の改正で求められているのは、前述の条件に該当(第一種指定化学物質等取扱事業者に該当し、かつ対象物質を規定の割合以上含有もしくは付着する廃棄物を排出)する場合、その旨と以下の情報を委託契約書に記載します。

・対象物質の名称
・対象物質の量又は割合

これは、石綿含有の有無や水銀含有の有無などの記載を求めている「廃棄物処理法施行規則第8条の4の2」に追加される形となっています。公益社団法人 全国産業資源循環連合会が発行する標準様式では、図2のように条文を追加すると発表しています。実務上の対応として、図2の雛形にあるとおり、第一種指定化学物質が廃棄物に含まれる場合には別紙等によって情報提供する旨を委託契約書に追記する方法が合理的と考えられます。

図2:公益社団法人 全国産業資源循環連合会の標準様式追加内容

この条文では「対象廃棄物が規制化学物質の含有または付着ありに該当する場合は、必ず情報提供しますよ」という宣言のみです。ですので、該当する場合は別途詳細を記載した書面が必要です。

法律の求めるところが「該当する場合は、その旨」という書き方になっているため、該当の廃棄物でない場合、厳密には上記の条文も不要です。しかし、何も書かないと「該当しないから書いていない」のか「改正法に対応できていないから書いていない」のかが判断できないですよね。そのため、必ず現行の委託契約書には条文を追加します(図2の下線部分)。

そして、詳細を記載する書面は特別な書式を新規で用意しなくとも、廃棄物データシート(WDS;Waste Data Sheet)が活用できます。WDSは、図3の通り、環境省がWebで公開している従来の様式です。そこにも「6.PRTR法対象物質」として記載欄がすでに設けられています。

図3:WDS様式(抜粋)

 

さて、読者の皆さんはここでこんな疑問が浮かびませんか?

「えっ?そもそもWDSに書くものなら、今までと変わらないのでは?結局なにが改正なの?」

そうです。PRTR法の届出有無や含有する対象物質はこれまでに作成されたWDSにも記載されているはずなのです。ならば、なぜわざわざ法改正を行うのか?私が考えるその答えは「明確な義務化」をするためです。

そもそも廃棄物処理法では、廃棄物を適切に処理するために処理業者へ廃棄物に関する情報を提供することが定められています。そして、環境省では廃棄物データシート(WDS)の書式を使用した情報提供を“推奨”しています。つまり、WDSの作成は“推奨”であって義務ではなく、法で定められた「廃棄物の情報提供」も、(特定有害物質や水銀、石綿など個別に指定されている物質を除いて)明確な基準はありません。

皆さんの会社でも、WDSを作成する顧客と、作成しない顧客がいると思います。
WDSを作成するかどうかも、排出事業者の判断に委ねられています。汚泥やばいじんなど、一見して成分がわからない品目には作成が推奨されます。一方、廃プラや木くずなど、一般的に有害性が無いと考えられる品目については不要と考えられていますよね。

そこで、今回の改正によってWDSの作成有無に関係なく、PRTR法対象物質の情報提供を行うことが義務付けられたのです。また、WDSの推奨様式では物質名の記載が求められますが、量もしくは割合は求められていません。そこで改正法の基準を満たすためには、量もしくは割合を自ら追記する必要があります。

ここで再度、対象について考えてみます。対象は「第一種指定化学物質等取扱事業者」かつ「対象物質を含有もしくは付着する廃棄物を排出する」場合でした。では、第一種指定化学物質等取扱事業者に該当しない場合は、対象物質を含有する廃棄物を排出したとしても、法の規制対象にはならず、情報提供は不要ということでしょうか?

やはり厳密論では「廃棄物に対象化学物質が含有・付着していても第一種指定化学物質等取扱事業者でなければ、改正法の対象ではない」と言えます。しかし、対象物質を含むのに全く情報を処理委託先に渡さない…というのはリスクを感じると思います。そもそも「適正処理に必要な情報」は求められているのですから、対象物質が処理に与える影響を考えて、情報提供が必要だという判断が自然ですよね。
処理を受託する立場であれば、業種等にかかわらず含有・付着の情報は提供してほしいと考えるはずです。そのため、実務上は「第一種指定化学物質等取扱事業者」に該当するか否かにかかわらず、対象物質の該非判定のみで判断していくことが一般的になってくると予想しています。

具体的な対応は?

本改正の施行日は令和8(2026)年1月1日です。各事業者は年内に改正法に対応した契約書やWDSの雛形を整備するなどの対応が必要です。しかし、この対応に関して特に質問が多いのは「既存の契約書は作り直しが必要なのか?」という疑問です。本件に関して、執筆時点では公式的な回答となり得る通知等は確認できませんでした。

一方、環境省や地方自治体の指導方針はある程度予測できます。おそらく「水銀使用製品産業廃棄物」に関する事項が法定記載事項に追加された時と同様の対応になるのではないでしょうか?当時、様々な自治体の見解を聞き取り調査しましたが、回答は概ね以下の通り共通していました。

・既存契約については、必ずしも中途での再締結を求めない
・契約更新時には、改正法に対応した内容で締結すること
・「1年ごとの自動更新」としている契約も多く存在するが、自動更新も更新であるので、更新のタイミングで契約改訂すること
・法の規定は「含まれる場合は~」のため、該当しない廃棄物の契約かつ、自動更新のものに関しては、必ずしも改訂の必要はない

基本的には「更新時」に改正法に対応した雛形を使用していればOKですね。自動更新の場合でも、更新のタイミングで改定が必要です。
とはいえ、全ての排出事業者が改正法に対応してくれるとは限りません。

・自社の雛形を改定し、排出事業者に提供する
・排出事業者の雛形を使用する場合には、対応条文を確認する

といった手順で、法改正への対応を確認していく必要があります。
契約している顧客数が多く、各社と再契約する余裕がなければ、取り急ぎ一斉メールやFAXなどで、法改正のお知らせと対応要否の確認をすることをおすすめします。

・委託する産業廃棄物に改正法の対象となる物はあるか?
・委託契約書の再締結を希望するか?

などの項目に回答してもらい、再締結が必要な相手先にのみ、対応します。
メールやFAXで簡易的にでも、改正法の対象でないことが明示されれば「改正を知らない顧客から対象の廃棄物を受け入れる」ということは防げますので、再締結先は最低限の数に抑えることができます。

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