COLUMN
コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
廃プラ保管量が2倍に!問題は解決?
環境省から、国内の廃棄物処理業者が一時的に保管できるプラスチックごみの量の上限を引き上げるという省令の改正案が発表されました。
優良な廃棄物処分業者に限定して、保管量の上限を2倍(現行の処理能力14日分を28日分へ変更)を認めるといものになります。
公布は令和元年8月下旬を予定されています。
最近、ニュースや記事で多く取り扱われていることを見ても、それだけ廃プラ問題は深刻だということが窺えます。
そのような中で、この「保管量を2倍にする」という対策でどのようなに変わるのか?今後の見通しも含めて、お話しします。
廃プラ問題は解決される?
「これで廃プラ問題は解決されるの?」という疑問が浮かんでくる方も多いのではないでしょうか?正直なところ、この対策のみではこの問題を解決することは難しいというのが私個人の見解です。
これは廃プラ問題に対しての、その場しのぎの対策と言わざるを得ません。
廃プラ問題の原因は中国の輸入規制だけではない?
そもそも、廃プラ問題の原因は、廃プラスチックの行き場がないということにあります。これまで、日本は廃プラスチックの約6~7割を中国に有価物として輸出してきました。
しかし、ご存知の通り、中国の法規制により輸出することができなくなってしまいました。そこで、国内でのリサイクルを検討する排出事業者の方も多いものの、日本でのリサイクルの需要が少ないため、現実的に難しいと言えます。
廃棄物として処理(主に焼却)をするにしても、「コストが上がる」「焼却業者の許容量が追い付かないなどの問題がある」ということが、廃プラスチックの行き場がなくなってしまう原因です。
まとめますと、保管量を2倍にして受け皿を大きくしたとしても、最終的な廃プラスチックの行き場がないため、この対策のみで廃プラ問題を解決することは難しいと言えます。
どこでも保管量を2倍にしていいの?
どこでも、保管量を2倍にしていいと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、これは大きな間違いです。そもそもこの対策の目的は、不法投棄を防ぐためとされています。
それにも関わらず、許可が出るのは優良認定業者のみになるようです。そもそも、2倍になったところで処理が円滑に進むかどうかは別問題です。
という事で、廃プラ問題はまだまだ続くことになりそうです・・・
保管量が定められている理由
廃プラスチックの保管量を制限するのには理由があります。
そもそも、保管量が増加するとどの様な問題が起きてくるのでしょうか?
一般的には、あまりにも多くの廃棄物を貯め込むということは、処理が進んでおらず、不法投棄に発展する可能性が高い、長期間の保管により腐敗や風害物質が流出するといった懸念があります。
さらに、プラスチックは、火災を引き起こす危険性があります。
>>廃プラの火災に関するコラムはこちら
保管量を増やすことによって、万が一火災が起こった際に、大規模化し被害が拡大するというデメリットがあります。
以上のことから、処理が円滑になる見込みは薄く、火災リスクは増大するという…あまり効果が見込めない対策となりそうです。
廃プラ問題は一朝一夕で解決できるものではなく、まだまだ続きそうですね。
もちろん、イーテラスは処理会社様への廃棄物管理にまつわる様々なサポートを全力で行っております。何かお困りの点や気がかりな点がありましたら、お気軽にご相談ください。
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。