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コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
実地確認の条例改正!愛知県が厳格化!
皆さんは、自社に関係する自治体の廃棄物条例を定期的にチェックされていますでしょうか?
「関係する」というのは、自社の処理施設がある自治体だけではなく、排出事業者が所属する自治体も含みます。県外の排出事業者と取り引きをする場合は、相手は異なる条例に従っています。
条例は、法律と同様に「知らなかった」では済まされない非常に重要なものです。
また、「改正」される場合があることにも注意が必要です。
条例改正が行われた時に、そもそも改正を知らないというケースも見られるので、注意を払っておく必要があります。
実地確認が厳格化された愛知県条例
例えば、2018年には愛知県で次のような条例改正が行われました。
改正内容は諸所ありますが、特に実地確認に関する規制が強化されたことが大きなポイントとなっています。
愛知県HP「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例 第7条に関するガイドライン 」より引用
こちらを簡単にまとめると、
・委託前及び1年に1回の実地確認を怠ると愛知県知事から勧告を受ける
・勧告に従わないと、その旨と内容を公表される
というものです。
今まで特に明記されていなかった「実地確認を怠るとどうなるか?」が明確に定められたのです。
実地確認は排出事業者に義務付けられているものです。そのため、排出事業者に向けての条例改正のように見えます。
では、処理業者への影響は無いのでしょうか?
処理業者への条例改正の影響とは?
今回の条例改正では、処理会社の立場では「実地確認に来る排出事業者が増える」という影響が予想されます。
現状、自社の契約している(条例で義務付けられている)すべての排出事業者が実地確認に来ていますでしょうか?
実態として「多くの排出事業者が実地確認に来ていない」というケースもあるのではないでしょうか?
しかし、このような条例が出た以上、排出事業者としても実地確認を怠ると、公表によって社会的信用を失うリスクがあります。これを避けるために、実地確認に着手する排出事業者が増えることが予想されます。
実地確認が増えると…?
これまで行われていなかった実地確認が増えるのは、正直負担が大きいという声も多く聞きます。
一部の排出事業者だから、なんとか受け入れできていたものの、もしすべての排出事業者が実地確認に訪れたら…。現実問題として「対応するスタッフを確保できない」「工場の稼働がいつも通り行えず、処理が滞ってしまう」ということもあります。
しかし、排出事業者は法令順守のもと行っているため、断ることもできません。もし、無碍に断ってしまえば、信用を失うことに繋がります。
今回の条例改正は愛知県のみですが、「実地確認義務を怠った場合の処分」を明確化する自治体は今後増えるかも知れません。
さらに、新たに実地確認を義務付ける自治体が出てくる可能性も十分にあります。
適正処理のために定期的なチェックを
まずは、各自治体の条例改正は逐一チェックしておくべきだと言えます。早めに情報を入手することで、こういった事態にも準備をする余裕が生まれます。
もし、実地確認の受け入れが増える可能性が高ければ、排出事業者の訪問があっても極力、平常通り施設が運転できるように受け入れ体制の整備や、いつでも対応できるように、廃棄物の保管状況を常に適切に保っておくといった対策を行う必要があります。
最低でも年に1回のペースで、自社と契約先の排出事業者が所属する自治体の条例をチェックすることをお勧めします。
イーテラスは処理会社様への廃棄物管理にまつわる様々なサポートを全力で行っております。何かお困りの点や気がかりな点がありましたら、お気軽にご相談ください。
執筆者
安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。