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2022-07-08

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」をカンタン解説!第3回:「排出・回収・リサイクル段階」の取り組み

法改正

第3回は「排出・回収・リサイクル段階」における取り組み内容の解説です。
事業内容、従業員数、プラスチック使用製品廃棄物排出量等によって、対象の有無や罰則の内容が異なる点があります!注意してお読みください。

プラ新法と廃掃法では違う?「排出事業者」の定義とは

プラスチック新法(プラ新法)では、排出事業者は、基本的に事業から廃プラスチックを排出する者が広く対象となります。ただし、例外もあるんです!下記の要件に当てはまる場合は「小規模企業等」として対象からは除外されるので、注意してください。

 

・従業員の数が20人以下の、商業・サービス業以外の業種を行う個人・会社・組合等
・従業員の数が5人以下の、商業・サービス業に属するの事業を行う個人・会社・組合等

 

商業サービスが5人、それ以外の業種は20人が基準となり、それ以下の規模では対象から外れます。また、前年度のプラスチック使用製品廃棄物排出量が250t以上の事業者は、多量排出事業者に該当します。事業所単位ではなく、事業者単位なので複数の工場や営業所を持つ事業者は、すべて合算すると該当する可能性が高くなるので注意が必要です。

多量排出事業者は、前述の多量提供事業者と同様に、取り組みについて著しく不十分な場合は、勧告・公表・命令等の対象になります。命令に違反した場合には、50万円の罰金が課せられることも定められています。多量に該当しない排出事業者(便宜上、一般排出事業者とします)に関しても、指導・助言の対象となる点も提供事業者と同様です。

 

排出事業者は10の判断基準が示されています。

1.排出の抑制・再資源化等の実施の原則
2.排出の抑制に当たって講ずる措置
3.再資源化等に当たって講ずる措置
4,多量排出事業者の目標の設定・情報の公表等
5.排出事業者の情報の提供
6.本部・加盟者における排出の抑制・再資源化等の促進
7.教育訓練
8.実施状況の把握・管理体制の整備
9.関係者との連携
10.約款の定め

前に述べた提供事業者と重複する内容もありますが、特に重要なのは、1~5です。抜粋してもう少し詳しく説明していきます。

 

1.排出の抑制・再資源化等の実施の原則

原則を簡単にまとめると、下記の順で優先順位が付けられています。

1.排出の抑制
2.分別排出
3.再資源化
4.熱回収

まず、製造業ですと歩留まり向上や梱包材の削減・代替材の仕様などによって、そもそも廃プラスチックの排出量を抑えることが最優先とされています。次に、排出される際の分別の徹底です。プラスチックとそれ以外を分けることは、排出抑制になりますし、プラスチックの中でも細かい素材ごとに分けることによって、再資源化が行いやすくなります。

こうして、排出される廃プラスチックは可能な限り再資源化が行われるようにします。リサイクルが難しい場合は、次点として熱回収を検討します。再資源化と熱回収は、自ら実施する他、委託することももちろん可能です。

 

「可能な限り」ってどの程度の対応が必要?埋立や焼却はNGなの?

「必ず再資源化か熱回収をしなければいけないのか?」というような、「可能な限り」をどの程度として捉えたらよいかという質問をよくいただきます。

例えば…

Q:工場Aから排出するプラスチックは、単一素材に分別がされていて、技術的には再資源化が可能な物です。ただ、工場近隣には再資源化や熱回収が可能な処理業者がなく、一般的な産廃処理しかできません…。県外の再資源化施設に委託しようとすると、2倍以上のコストアップになってしまう!それでも近場の産廃処理業者に委託してはいけないの?

どうでしょうか?技術的には可能、しかし排出事業者にとってコストは現実的ではないというケースですね。

仮に、再資源化や熱回収が絶対的な義務だとすれば、単純焼却等を行っている許可業者にとっては、かなりの逆風です。反対に、再資源化や熱回収を行っている場合には、コストがかかっても委託してくれる排出事業者が増えるということですから、有り難いことですね。

この場合、近隣で産廃処理をしても違反とみなされる可能性は低いと考えられます。そもそも、この法律は促進法ですので、法に抵触すると罰則!という属性のものではありません。あくまで、優先順位を指針として示しているだけです。ですので、経済合理性など、他のあらゆる条件を無視してまで、再資源化や熱回収をする必要はないと思われます。

とはいえ、後述の目標設定や情報の公表があるので、少しずつでも改善していく必要はあります!また、全く分別せずに全量埋立処理をしていて、改善傾向が見られなければその排出事業者は「取り組みが著しく不十分」とみなされる可能性があります。
しかし、この場合、多量事業者であっても勧告から始まり、従わなければ公表・命令と続きます。全く改善しないし、行政の指導にも聞く耳を持たず…ということをしない限り、罰則まで発展することはありません。あくまで、各社の状況を加味しながら各社基準の「できる限り」を追求すれば良いということですね。

 

2.排出の抑制に当たって講ずる措置
3.再資源化等に当たって講ずる措置

これらは排出の抑制、判断基準に関するそれぞれの取組内容が示されています。

出典:環境省ホームページ

 

4.多量排出事業者の目標の設定・情報の公表等
5.排出事業者の情報の提供

4は多量排出事業者について、5は一般排出事業者についての基準です。

違いはどこにあるのでしょうか?多量排出事業者は目標設定が求められ、一般排出事業者は目標設定が求められていません。多量排出事業者は目標と達成状況に関して、一般排出事業者は排出の抑制や再資源化等の取組状況を、インターネット上で公開する必要があります。これに関しても提供事業者と同様に行政への報告ではなく、各事業者による公表となっています。

 

再資源化事業の特例認定

自主回収や再資源化に対して、その事業計画が認定されれば廃棄物処理法上の許可が不要となる特例制度も定められています。許可が不要?!これはどういうことでしょうか?

使用済みのプラスチックを回収・再資源化し、再度製造・販売事業者に原料等として提供されるスキームが想定され、この場合の回収・再資源化について、廃棄物処理法上の業許可が不要となります。

ポイントは、回収業者(収集運搬業者)と再資源化業者(処分業者)の許可が不要となりますが、申請者は製造・販売事業者等、排出事業者、再資源化事業者の3パターンがある点です。実際に回収・再資源化するのは業者だけでなく、製造・販売業者や排出事業者が主導でリサイクルスキームを構築することを想定し、申請者として加えられていると考えられますね。

出典:環境省ホームページ

出典:環境省ホームページ

 

執筆者

安井 智哉

廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。
また、静脈産業・廃棄物処理業界の”現場”が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。

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