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COLUMN

コラム

廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。

管理者向け 2026.07.29

産廃事業者の受注を安定させるには? 顧客情報を「会社の資産」に変える考え方

「これまで紹介と付き合いのある取引先で回ってきた。でも、この先もずっと同じでいられるのだろうか」——そう感じたことはないでしょうか。産廃業では、長年の信頼で受注が続く一方、新しい受注につながる土台をつくれていない会社も少なくありません。 本記事では、その土台となる「顧客情報」に注目し、紹介・既存頼みから一歩踏み出すために何から始めればよいかを整理します。 このシリーズでは、産廃事業者が紹介・既存取引先だけに頼らず、受注を安定させていく方法を、回を分けてお伝えしていきます。今回はその出発点として、受注の土台となる「顧客情報」の扱い方を取り上げます。

「紹介頼み・既存頼み」は、なぜ危ういのか

紹介や既存の取引先からの受注は、産廃業にとって大切な基盤です。長年の信頼があるからこそ続く関係であり、それ自体は決して悪いことではありません。 問題は、受注がそこ「だけ」に偏っているときです。次のような出来事は、自社の努力とは関係なく起こります。

・主要な取引先が廃業・縮小し、任されていた仕事がなくなる

・先方の担当者が代わり、これまでの関係がリセットされる

・取引条件の見直しを求められ、これまで通りの条件で続けにくくなる

いずれも、自社ではコントロールできない要因です。受注の入口が紹介と既存取引先だけだと、こうした出来事がそのまま売上の減少に直結します。紹介頼み、既存頼み。その「当たり前」は、ある日突然崩れることがあります。だからこそ、受注につながる土台を会社として持っておくことが大切です。

【ポイント①】 紹介・既存取引先頼みが危ういのは、受注が「自社でコントロールできない要因」に左右されるからです。備えるには、受注につながる土台を会社として持っておくことが重要です。

営業不足だけではない、見落とされがちな原因

「新しい受注が増えない」と聞くと、多くの方は「営業が足りない」と考えます。もちろん、営業活動そのものも大切です。しかし、産廃業の現場を見ていると、原因はもっと手前にあることが少なくありません。 それは、「誰と、どんな取引をして、どんな相談を受けてきたか」という顧客情報が、社長や特定の担当者の頭の中にしかない、という問題です。 長年の付き合いで受注が回っているうちは、それでも困りません。頭の中に、取引先のことがすべて入っているからです。しかし、この状態には落とし穴があります。 その担当者が休めば、取引先の状況が分からなくなる。辞めれば、関係や経緯を引き継ぐことが難しくなる。そして、新しい受注の入口を作ろうとしても、「自社が何を強みに、どんな相談を受けてきたか」が整理されていないため、何を売り込めばよいか分からない。つまり、受注が続かない原因は、営業活動の量だけではありません。顧客情報が個人に属したまま会社の資産になっていないことが、新しい受注づくりを難しくしている場合があるのです。

顧客情報を「個人の頭」から「会社の資産」に変える

受注を安定させる第一歩は、派手な営業活動ではありません。まず、顧客情報を個人の頭の中から取り出し、会社として残す・使える状態にすることです。この違いは、次のように表れます。

情報が「個人の頭の中」にある 情報が「会社の資産」になっている
担当者が休むと、取引先の状況が分からない 必要な担当者が、取引先の状況を確認できる
その人が辞めると、関係や経緯の引き継ぎが難しくなる 担当が代わっても、関係を引き継げる
過去の見積りや相談の経緯が追えない 過去のやり取りを踏まえて対応できる
新しい入口を作ろうにも、何を強みに売るか整理できない 自社の実績・強みが見えるので、新しい受注につなげやすい

顧客情報が会社の資産になっていれば、担当者が代わっても関係を引き継げますし、自社の実績や強みが見えるので、新しい受注の入口も作りやすくなります。紹介・既存頼みから抜け出す土台は、ここにあります。

まず、何を残すか

ここでいう顧客情報とは、単なる会社名や担当者名だけではありません。どんな廃棄物に対応したか、どんな相談を受けたか、どのような見積り・やり取りがあったかといった、次の対応や受注づくりに活かせる情報を指します。 「顧客情報を残す」といっても、最初から難しいシステムを入れる必要はありません。まずは、次のような情報を、担当者個人ではなく会社として残すことから始めます。  

・取引先ごとに、対応した廃棄物の種類・数量

・これまでに受けた相談や問い合わせの内容

・過去の見積りと、その結果(受注できたか、できなかったか)

・排出事業者が困っていたこと(分別・保管・収集のタイミングなど)

・担当者だけが知っている、取引先とのやり取りの経緯

・次に確認すべきこと・次回連絡のタイミング

・取引先のキーマンや、意思決定に関わる部署・担当者

これらは、日々の業務の中ですでに発生している情報です。ただ、多くが個人のメモや記憶にとどまり、会社として蓄積されていないだけなのです。まずは、これらを会社として残す意識を持つことが出発点になります。 ただし、注意したいことがあります。これらの情報は、ただ「貯める」だけでは受注につながりません。貯めた情報を、次の商談で使える形に整理し、担当者が代わっても引き出せる状態にして、初めて受注の力になります。「記録する」の一歩先にある「使える形にする」ところまでが、本当の意味での資産化です。

いきなり完璧を目指さない

顧客情報の蓄積は、最初から完璧な形を目指すと、かえって続きません。まずは、取引先ごとに「対応した廃棄物」「受けた相談」だけでも記録に残す、といった小さな一歩で十分です。 大切なのは、情報を個人に閉じ込めず、会社で見られる場所に置くことです。もちろん、顧客情報は社内での閲覧範囲や取り扱いルールを決めたうえで管理する必要があります。手応えを確認しながら、残す項目や仕組みを少しずつ広げていく。この進め方が、無理なく定着させるコツです。 なお、一部の会社では、さらに一歩進んで、商談のやり取りそのものを録音・文字起こしし、AIで整理して、必要な担当者が使える形に変える取り組みも始まっています。担当者の記憶や手書きメモに頼らず、情報を残すこと自体を仕組み化する動きです。こうした具体的な方法は、次回以降でお伝えしていきます。 もちろん、商談の録音やAI活用を行う場合は、相手先への説明、利用目的、保存期間、閲覧権限、利用するツールの情報管理ルールを整理したうえで進めることが前提です。

【ポイント②】 受注が続かない原因は、営業不足だけではなく、顧客情報が個人の頭の中にとどまっていることかもしれません。まずは小さく、会社として情報を残すことから始めましょう。

進行中の実践から

参考として、私たちが現在一緒に取り組んでいる、ある産廃事業者の取り組みを紹介します。この会社は、長く地域の信頼で受注を続けてきましたが、これからを見据え、顧客情報を会社として残す取り組みを始めています。 具体的には、これまで担当者ごとに散らばっていた取引先の情報や相談の経緯を、会社として一つにまとめて見られるようにすることから着手しています。さらにその先では、商談内容の記録や過去のやり取りの洗い出しにAIを活用し、属人的なやり方から脱する取り組みも進めています。これは完成した成功事例ではなく、現在進行中の実践です。だからこそ、同じ立場の産廃事業者の方に、リアルな試行錯誤としてお伝えできることがあると考えています。 次回以降では、この会社が貯めた顧客情報を「次の受注」に変えていく具体的な使い方を、順次紹介していきます。ただ、今回の記事だけでも、まずは自社の顧客情報を会社として残すことから始められます。続きを待たずに、できるところから着手してみてください。

自社の状態を確認してみる

最後に、自社の顧客情報がどんな状態にあるかを確認してみましょう。次の項目に、いくつ当てはまるでしょうか。  

・主要な取引先の状況を、担当者以外も把握できているか

・担当者が急に休んでも、取引先への対応を引き継げるか

・過去の見積りや相談の経緯を、後から確認できるか

・自社が「何を強みに、どんな相談を受けてきたか」を整理できているか

・新しい相談が来たとき、最初に見せられる資料やWebページ、説明があるか

当てはまらない項目が多いほど、顧客情報が個人に依存している状態だと言えます。この確認が、受注の土台を作る取り組みの出発点になります。

まとめ

【ポイント③】 受注の入口を増やす前に、まず「顧客情報を個人の頭から会社の資産に変える」ことが土台になります。日々の業務で発生している情報を、小さく会社として残すことから始めましょう。

・紹介・既存取引先頼みが危ういのは、自社でコントロールできない要因に受注が左右されるから

・受注が続かない原因は、営業不足だけではなく、顧客情報が個人の頭の中にとどまっていることにある場合がある

・担当者が代わると、関係や情報の引き継ぎが難しくなる。だからこそ、情報を会社の資産に変えることが土台になる

・対応した廃棄物・受けた相談・見積りの経緯などを、小さく会社として残すことから始める

・まず自社の顧客情報が個人依存になっていないかを確認する

顧客情報は、最初から大きなシステムを入れる必要はありません。まずは紙やExcelでの整理からでも構いません。必要に応じて、音声入力やデータ一元化の仕組みを使いながら、日々の業務で発生する情報を会社として使える状態にしていくことが大切です。 イーテラスの「崩れない会社づくり支援」では、こうした顧客情報を会社の資産に変える取り組みを、産廃業の実情に合わせて一緒に整理・実践していきます。進行中の実践で得た知見も踏まえ、自社に合った進め方をご提案します。

 
自社の受注の土台を整理したい方へ


「何から手をつければいいか分からない」という段階でも、まずは自社の顧客情報や受注構造を一緒に整理するオンライン個別相談から始められます。紹介・既存取引先への偏り、顧客情報の残り方、会社案内やWeb上の見え方を確認し、自社に合った最初の一歩を整理します。必要に応じて、紙・Excel・担当者メモに散らばった情報の整理、音声入力を使った記録の残し方、データ一元化の仕組みづくりまで、段階に合わせて検討できます。 より詳しい内容をご希望の方には、サービス資料もお送りします。

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