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廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
産廃業の役員変更時、欠格要件チェックは「拘禁刑」表記に更新済みですか?
社長交代、役員改選、株主構成の見直し。事業承継や世代交代のタイミングで、役員変更を予定している産廃事業者は少なくありません。このとき、多くの現場で「登記を済ませれば手続きは完了」と受け止められがちです。しかし産業廃棄物処理業の許可を持つ会社では、役員変更は登記だけで終わる話ではありません。許可情報の管理や自治体への届出、欠格要件のチェックといった手続きが必要です。これらを見落としてしまうと後になって重大なリスクに発展する可能性があります。
特に、令和7年6月1日に刑法等の一部改正法が施行され、欠格要件に関わる法令表記が変わったため、社内のチェック表が古い表記のままになっている会社は、この機会に表記の確認・修正をおすすめします。本稿では、役員変更の前に確認しておきたい実務ポイントを、期限管理と欠格要件の2つを軸に整理します。
【ポイント】
役員変更は登記で完了ではありません。産廃許可を持つ会社では、①変更届の期限管理、②新任役員の欠格要件チェックが必要になります。また、欠格要件の確認文言は、令和7年6月から「禁錮以上」ではなく「拘禁刑以上(旧:懲役・禁錮)」に変わっています。
目次
役員変更は「登記して終わり」ではない
産廃処理業の許可を持つ会社では、代表者・役員・5%以上の株主・出資者・政令使用人などの変更が、許可情報に関係します。役員の就任・退任や代表者の変更があった場合、通常は変更許可ではなく「変更届」の提出が必要となります。
登記を変更しただけでは、許可行政庁への届出は完了しません。そのため、誰がいつ、どの自治体に、どの書類を添えて届け出るのかを管理しておく必要があります。この管理が抜けると、後の更新申請や行政対応の場面で思わぬ支障が生じる可能性があります。
通常の役員変更では、変更届と添付書類の期限管理が必要
変更届には提出期限があります。廃棄物処理法施行規則では、原則変更の日から10日以内、法人の役員変更などで登記事項証明書(商業登記簿謄本)の添付を必要とする場合は30日以内に変更届を提出しなければなりません。役員変更にあたっては、自治体によって、役員・株主等の新旧対照表や履歴事項全部証明書の提出を求められる場合があります。
また、新たに就任した役員については、住民票や登記されていないことの証明書等が必要になることがあります。
なお、提出先や様式、必要書類については、自治体ごとに案内が異なる場合があるため、許可を受けている自治体の最新案内を確認したうえで、実際に手続き準備を行ってください。
新任役員で見落としやすいのが「欠格要件チェック」
新たに役員に就任する人については、欠格要件に該当しないかの確認が必要です。破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者、一定の刑に処せられた者、環境法令違反による罰金、暴力団関係、過去の許可取消しに関わる経歴などが確認対象として挙げられています。
欠格要件は、就任する本人だけでなく、法人であれば役員や政令で定める使用人などにも及ぶ点に注意が必要です。新たに就任する役員が過去にどのような経歴を持つかは、同じ会社内であっても把握しにくいことがあります。だからこそ、就任前の段階で確認する手順を社内で定めておくことが、思わぬトラブルを避ける有効な手段になります。
ここで実務上問題となりやすいのは、社内で使っている欠格要件チェック表が、古い法令表記のまま更新されていないケースです。
令和7年6月以降は「禁錮以上」ではなく「拘禁刑以上」表記に注意
令和7年(2025年)6月1日に刑法等の一部改正法が施行され「懲役」と「禁錮」が廃止されて「拘禁刑」に一本化されました。これに伴い、廃棄物処理法の欠格要件に関する条文や関係通知の表現も「拘禁刑以上の刑」に置き換わっています。
制度の骨格や役員変更届の手続きそのものが大きく変わったわけではありませんが、確認に使う文言や様式、社内チェックリストなどは、現在の表記に合わせて修正する必要があります。社内資料が「禁錮以上」のままだと、現行の法令表現とズレたまま確認を続けることになります。
なお、過去の刑や経過措置との関係もあるため、社内資料では「拘禁刑以上(旧:懲役・禁錮)」のように旧表記と対応づけて整理しておくと、実務上分かりやすくなります。
【注意】
社内の欠格要件チェック表が「禁錮以上」の旧表記のままだと、現行の法令表現とズレたまま確認を続けることになります。役員変更を機に「拘禁刑以上(旧:懲役・禁錮)」の表記へ点検しておきましょう。
欠格要件に該当した場合は、通常の変更届とは別の問題になる
役員変更そのものは、通常は変更届の対象です。
一方で、新たに就任する役員などが欠格要件に該当することが判明した場合には、通常の変更届とは別に、法令上の届出が必要となる場合があります。廃棄物処理法の枠組みでは、欠格要件に該当する場合、該当する類型により「2週間以内」または「遅滞なく」届け出ることが必要とされています。「役員を変更したら2週間以内」という話ではなく「欠格要件に該当してしまった場合の別ルート」である点に注意してください。
複数自治体の許可を持つ会社ほど、管理は煩雑になる
収集運搬などで複数の都道府県・政令市の許可を持っている会社では、原則として、許可を持つ自治体ごとに届出が必要になります。自治体ごとに提出先や様式、期限等を管理することになり、役員変更のたびに同じ確認を自治体の数だけ繰り返すことになります。
役員情報や出資者情報、許可自治体、添付書類といった届出に必要な情報を、担当者の記憶や個別のExcelだけで管理していると、確認漏れや届出漏れが起きやすくなります。
そのうえ、担当者の異動や退職が重なれば、どの自治体にいつ何を届け出たのかが分からなくなり、履歴をたどり直す手間も生じます。
まとめ:役員変更の「前」に確認したい管理項目
役員変更や代表者変更は、単なる登記手続きではなく、産廃許可情報や欠格要件確認の確認、自治体ごとの変更届の作成等、さまざまな管理が必要になる場面です。まずは、次のような観点で自社の管理状況を書き出してみることをおすすめします。
・許可を持っている自治体をすべて把握できているか
・役員、5%以上の株主、出資者、政令使用人の情報は最新か
・変更届の期限を自治体ごとに確認できているか
・欠格要件チェック表が「拘禁刑」表記に更新されているか
書き出してみて「これは管理が追いついていない」と感じた項目があれば、その部分が、役員変更の前に優先して見直しておくべきポイントです。
【役員変更の前に】
許可自治体の把握・役員情報の最新化・届出期限の管理・欠格要件表記の更新。この4点を「役員変更前チェックシート」で書き出してみてください。
役員や代表者の変更を予定している場合は、まず「役員変更前チェックシート」で、自社の許可情報・役員情報・届出期限・欠格要件チェック表の状況を確認してみてください。10項目を書き出すだけでも、管理が追いついていない部分が見えてきます。
チェックの結果、複数自治体の許可情報や届出期限の管理に不安がある場合は、イーテラスがサポートいたします。ただし、他社の依頼を受け、報酬を得て官公署提出書類を作成することは、行政書士法上の業務領域に該当します。そのため、私たちがお引き受けするのは、届出書類そのものの作成代行ではなく、許可情報・役員情報・提出期限・確認項目を管理する仕組みづくりです。届出書類の作成が必要な場合は、必要に応じて提携行政書士等の専門家と連携しながら進めます。
許可情報管理の仕組み化を実際の画面でご覧になりたい場合は、オンラインでの操作デモや個別のご相談も承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。
根拠となる法令・通知
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第14条第5項第2号、第7条第5項第4号(産業廃棄物処理業の欠格要件)
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の2第3項(変更の届出)
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第10条の10(変更の届出事項)
・刑法等の一部を改正する法律(令和4年法律第67号)
・刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律(令和4年法律第68号)
※本稿は一般的な実務情報であり、個別の手続きの要否・期限・添付書類は、許可を受けている自治体の最新の案内でご確認ください。
執筆者
チーフコンサルタント 安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。また、静脈産業・廃棄物処理業界の"現場"が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。

