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コラム
廃掃法をわかりやすくまとめたり、廃棄物処理業界のDX化の事例をお伝えしています。
廃棄物処理会社様に向けたお役立ちコラムです。
採用してもすぐ辞める。 産廃事業者の人材定着は、なぜ進まない?
「採用してもすぐ辞めてしまう」「募集をかけても人が集まらない」——人手不足が続く産廃業界で、こうした悩みを抱える経営者は少なくありません。給与や休日を見直しても、なぜか定着につながらない。そんな手応えのなさを感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、人が定着しない背景に何があるのかを、産廃業界の現場に即して整理します。
このシリーズでは、自社で長く働き続けてもらえる組織をどうつくるかを、回を分けてお伝えしていきます。今回はその出発点として「人材定着」をテーマに取り上げます。
待遇改善は大切。しかし、それだけでは定着しないこともある
人が辞める、集まらないという課題に対して、まず思い浮かぶのは待遇の改善です。給与を上げる、休日を増やす、労働環境を整える——これらはいずれも重要で、取り組むべき対策です。ここを軽視するつもりはまったくありません。
ただ、待遇を改善しても定着につながらないケースも見受けられます。給与や休日は他社並みにしたのに、なぜか人が続かない。あるいは、待遇の良さで採用できても、数か月で辞めてしまう。こうした場合、待遇とは別のところに、定着を妨げる要因が隠れていることがあります。
【ポイント①】
人材定着は、給与や休日だけで決まるものではありません。待遇を整えても人が続かない会社には、別の要因が隠れていることがあります。
産廃業界の現場で、人はどんなときに辞めるのか
待遇以外の要因を考えるために、産廃業界の現場で実際に起きる「辞める場面」を思い浮かべてみましょう。次のような状況に、心当たりはないでしょうか。
・面接では「良い会社」と聞いていたのに、現場に入るとギャップを感じる
・頑張って丁寧に仕事をしても、雑に早く済ませる人と評価が変わらない
・ミスをしたときだけ指摘され、きちんとやったことは誰にも見られていない
・社長が何を大事にしているのかが現場に伝わらず、厳しい言葉だけが残ってしまう
・何を優先すべきかが共有されておらず、判断のたびにベテランや社長に確認するしかない
・受入可否や分別基準、回収効率、処理品質、顧客対応等、どれを優先すべきなのかが人や場面によって変わり、現場が迷う
これらは、給与や休日とは別の問題です。共通しているのは「この会社は何を大事にし、どう働けば報われるのか」が現場に伝わっていないという点です。基準が見えないまま働き続けると、人は「ここにいても報われない」と感じ、静かに離れていきます。
背景にある「大切にしていること」のズレ
産廃事業者の経営者の多くは、会社として大切にしてきた想いを持っています。「丁寧な仕事をする会社でありたい」「約束を守り、地域に信頼される処理業者でありたい」——そうした想いがあるからこそ、長年会社を続けてこられたはずです。
問題は、その想いが現場の判断基準にまで浸透していないことです。社長の頭の中にはあっても、現場の一人ひとりが日々の判断で「何を優先すべきか」を共有できていない。すると、人によって判断がばらつき、頑張りの方向も定まらず、評価の基準も曖昧になります。
待遇や条件だけでは説明しきれない離職の背景には、この「会社が何を大事にしているのかが、現場に伝わっていない」という問題が隠れていることがあります。
人材定着を支えるのは、制度を活かす「土台」
だからといって待遇や評価精度を否定しているわけではありません。それらが問題なく機能するために必要な土台づくりが大切なのです。
どんなに良い評価制度をつくっても「この会社は何を評価するのか」という価値観が共有されていなければ、制度は形だけのものになります。制度を活かす土台として、会社が大切にする価値観を言葉にし、現場の判断や行動につなげていく——この取り組みが、人材定着を支えます。
こうした「会社として何を大事にするか」を言葉にし、現場の判断や行動につなげていく考え方を、文化設計と呼びます。これを体系化した取り組みが、Culture Design Program(カルチャー・デザイン・プログラム、CDP)です。組織の文化を、偶然や個人の頑張りに任せるのではなく、意図的に設計していく——そういう発想です。
【ポイント②】
人材定着は、制度だけでは進みません。制度を活かす土台として、会社が大切にする価値観を言葉にし、現場と共有していく「文化設計」が必要です。
今日からできる第一歩
文化設計と聞くと、大がかりな取り組みに思えるかもしれません。しかし、出発点はとてもシンプルです。まずは、次のことから始められます。
・自社が「何を大事にする会社か」を、社長自身の言葉で書き出してみる
・どんな働き方または仕事の仕方を「良い」とするのか、具体的な場面で言葉にする
・それを、朝礼や面談など、現場と話す機会で少しずつ共有する
・評価やほめる場面で、その価値観に沿った行動を意識的に取り上げる
大切なのは、立派な理念を掲げることではなく、社長の想いを、現場が日々の判断で使える言葉にしていくことです。小さくても、現場に伝わり、行動につながることから始めるのが、人材定着への近道になります。
自社の状態を確認してみる
最後に、自社の状態を確認してみましょう。次の項目に、いくつ当てはまるでしょうか。
・自社が「何を大事にする会社か」を、社員に説明できる状態になっているか
・現場の一人ひとりが、判断に迷ったとき「何を優先すべきか」を共有できているか
・丁寧に良い仕事をした人が、きちんと評価される仕組みや空気があるか
・社長の想いが、現場の日々の行動にまで伝わっていると感じるか
・辞めた人が「なぜ辞めたのか」を、待遇以外の面からも振り返れているか
当てはまらない項目が多いほど、待遇以外のところに人材定着を妨げる要因が隠れている可能性があります。この確認が、組織文化を見直す出発点になります。
まとめ
【ポイント③】
人材定着は待遇だけの問題ではありません。会社が何を大事にし、どんな働き方を評価するのか——その基準を言葉にして現場と共有する「文化設計」が、制度を活かし、人が長く働ける土台をつくります。
・待遇改善は大切だが、それだけでは人材が定着しないことがある
・人が辞める背景に「会社が何を大事にしているか」が現場に伝わっていないという問題が隠れていることがある
・社長の想いが、現場の判断基準にまで浸透していないと、評価も頑張りの方向もばらつく
・制度を活かす土台として、価値観を言葉にし、現場と共有する「文化設計」が定着を支える
・まずは自社が「何を大事にする会社か」を言葉にすることから始める
イーテラスでは、文化設計・定着支援「Culture Design Program(CDP)」を通じて、こうした「会社が大事にすることを、現場に伝わる形にする」取り組みを、産廃業界の実情に合わせて支援しています。人材定着や組織づくりに課題を感じている場合、自社に合った進め方を一緒に整理するところから始められます。
自社の組織文化・人材定着の課題を整理したい方へ
「何から手をつければいいか分からない」という段階でも、まずは自社の組織文化・人材定着の課題を一緒に整理するオンライン個別相談から始められます。ご希望の方には、Culture Design Program(CDP)の概要資料もお送りします。
執筆者
チーフコンサルタント 安井 智哉
廃棄物処理会社へ出向し実務経験を積む。現場で得た知識や経験をもとに、お客様の課題に真摯に向き合い最適な提案をおこなうコンサルタントを目指す。また、静脈産業・廃棄物処理業界の"現場"が抱える課題に着目し、ITシステム等の様々なツールを活用したサービスの開発に努める。


